2023.12.05
太陽光発電の塩害とは?発電への影響や対策方法まで解説!
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。
太陽光発電を海岸近くで行う場合、日当たりがよく発電量アップが見込める一方で「塩害」に注意を払う必要があります。
そもそも塩害とはどんなものなのか、塩害が発電に及ぼす影響や対策について解説します!
目次
太陽光発電の塩害とは?
塩害とは海水中に含まれる塩分が波しぶきや風、汚れによって運ばれ、電気機械や農作物、建物、コンクリートなど、沿岸部にあるさまざまな物に付着して影響を与えることを言います。
塩害を受ける地域では、自動車が錆びてしまったり、農作物が枯れてしまったりしますが、太陽光発電では電気系統や架台に使われている金属などに影響を及ぼします。
塩害には「塩害地域」「重塩害地域」「岩礁隣接地域」という位置付けがあり、塩害の影響を受ける距離は地域によって異なります。
<塩害地域>
- 沖縄県と離島…海岸から500m〜7km以上
- 北海道・東北日本海側…海岸から500m〜7km
- 瀬戸内海…海岸から500m~1km
- その他…海岸から500m〜2km
<重塩害地域>
- すべての地域で、海岸から500m以内
<岩礁隣接地域>
- すべての地域で、波しぶきを直接受ける場所
太陽光発電では「岩礁隣接地域」は不向きとされ、「重塩害地域」での太陽光発電もオススメできません。
塩害地域で太陽光発電を始めることは可能ですが、設置場所に合わせた塩害対策は行わなければならないでしょう。
海岸からの距離が離れている場合でも、風向きや河川の場所によっては海岸からの距離を満たさなくても塩害の影響を受けることがあります。
塩害にあう可能性がある場所には設置不可としているメーカーや、もし設置してもメーカー保証の対象外となってしまうこともあるため、設置には入念な現地調査が必要です。
塩害は太陽光発電に具体的にどんな影響がある?
塩害が太陽光発電に及ぼす影響は、場所によってさまざまな形で現れます。
ソーラーパネル
ほとんどのメーカーで「塩害地域」でも設置可能な製品になっているため、パネル自体の素材に変質はありません。
ただし、内部に使用される配線は錆びる可能性があります。
架台
ボルトやナット、フレームなどは金属製のものが多いため、塩害対策をしていないと劣化や錆びを起こします。
設置しているコンクリートに塩分が染み込み、そこから架台に伝わって錆びを引き起こす可能性もあります。
パワーコンディショナー
ネジや配線など、金属製のものは錆びやすく劣化しやすいです。
塩が当たった部分は雨が降ると洗い流されますが、接続部分など雨が当たりにくい部分に塩が残ってしまいます。
雨水で流れても地面に染み込むため、そこから内部の鉄筋が錆びて劣化を引き起こすことも。
「定期的なメンテナンスで塩分を洗い流してしまえば大丈夫」とはいかないのが実情です。
太陽光発電の塩害への対策法とは?各メーカーの対策も!
沿岸部で行う太陽光発電は、日光がまんべんなく当たってしっかりとした発電量が見込めるというメリットもあります。
沿岸部に土地をお持ちで、なんとかして生かしたいという方もいらっしゃるでしょう。
太陽光発電を沿岸部など塩害地域で行う場合は、塩害を防ぐ対策が必要です。
塩害を防ぐための具体的な対策
自分で行うことが可能な塩害対策の方法を知っておきましょう。
パワーコンディショナーは内部設置する
パワーコンディショナーの設置場所に決まりはありません。
できるだけ塩害の被害を少なくするためには、室内へ設置しましょう。
室内に設置しても少なからず塩分は入ってきてしまうので、できる限り侵入させないように密閉することも大切です。
腐食防止策を講じる
防腐性・防錆性のある機器を選んだり、錆止めを塗布したりするなど、錆びさせず腐食させない取り組みをしましょう。
絶縁部を強化する
耐塩ガラスを使用したり、表面にシリコンパウンドを塗布したりして、絶縁部を強化しすることでも塩害対策になります。
塩分が蓄積する前に取り除く
塩が蓄積する前にはらったり、純水で洗い流したりして塩分を落としましょう。
地元での施工実績がある業者を選ぶ
塩害地域では、地域の実情に合った施工が必要です。
海岸からの距離は同じでも、風向きや気候によって状況は異なるため、その地域での施工実績がある業者を選びましょう。
代表的なメーカーが行っている塩害対策
パネルは塩害地域で利用されるものと一般地域で利用されるものは同じで、どんな環境下でも使える高性能なパネルへと進化しています。
ソーラーパネルのパイオニアとも呼ばれる京セラでは、第三者認証機関であるテュフラインランドによる塩水噴霧実験をクリア。
シャープでは塩害地域専用のモジュールのほか、架台を留めるネジも塩害対策を施し、重塩害地域でも施工可能となっています。
三菱電機のモジュールは、パネルの裏側を保護するバックシートを3層にして密閉性などを向上。
フレームやネジなどには耐蝕性メッキを施しています。
架台には、塩害による腐食を防止する酸化皮膜をつくるアルミニウムやクリアコートを使用しています。
代表的な各メーカーの塩害対策をお伝えしましたが、メーカーによっては塩害地域への設置不可としているものもあるため、設置の際には確認が必要です。
四方を海に囲まれた日本では、塩害対策の需要はますます高まると考えられます。
メーカー各社もさらに塩害対策に力を入れるものと予想されますが、日頃のメンテナンスが重要になります。
点検にも力を入れ、塩害による被害にできるだけ早めに気付き、対処していくことも大切です。
塩害地域での太陽光発電は対策が必要
島国である日本は沿岸部で太陽光発電を行うケースも多いです。
ただし海岸に近い沿岸部では、塩害にあうリスクが高いというデメリットが。
地域によって定義は異なりますが、塩害地域・重塩害地域・岩礁隣接地域があり、特に波しぶきを直接浴びる岩礁隣接地域では太陽光発電はオススメできません。
塩害地域では、対策を講じたうえでの発電となります。
塩害はモジュール、フレーム、パワコンとすべての機器に影響を及ぼします。
塩害が引き起こす腐食や劣化に備えるため、メーカーが行っている塩害対策のほか、自身でも塩害対策を行いましょう。
塩害の被害を及ぼさないためには、日頃のメンテナンスはもちろん、点検にも力を入れる必要があります。
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