2023.12.05
減価償却とは?メリットや太陽光発電の減価償却の計算方法なども!
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。
減価償却は財務処理を行う際に欠かせないものですが、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
太陽光発電投資など費用のかかる設備を購入する場合、減価償却をすることで得られるメリットは大きいです。
今回は減価償却の概要について説明し、太陽光発電投資におけるメリットや具体的な計算方法についてもご説明します。
目次
減価償却とは?
減価償却とは、時間や使用によって価値が減ってしまう資産を、法律で定められた耐用年数を元に、毎年一定額もしくは一定の割合で経費として計上していくことを言います。
減価償却において、キーワードとなる用語がいくつかありますので、それぞれ解説していきましょう。
減価償却資産とは?
減価償却の対象となる資産のことを指し、「時間や使用によって価値が減ってしまう資産」としてパソコンや車、コピー機、建物などが挙げられます。
いずれも、事業に使用していることが前提です。
物として存在しないソフトウェアや特許権、商標権、営業権なども、経年によって価値が減少するため減価償却資産とされます。
減価償却資産は使用していなければ減価償却費として計上できないので、たとえば4月に社用車の契約を結んだとしても、納品されて使用を始めたのが5月であれば、減価償却費として計上できるのは5月になります。
経年や使用によって価値が減少していく資産でなければならないため、土地や骨とう品、絵画、書画、借地権などは減価償却資産にはなりません。
勘定科目・減価償却費とは?
勘定科目とは、内容ごとに記録するための項目のこと。
事業にはさまざまな取引がありますが、たとえば「電話代の支払い」の会計処理する上では「通信費」といった項目に定めます。
年月が経つことで価値が減っていく「減価償却資産の購入」において、法定耐用年数に応じて毎年分割して計上していく費用の勘定科目が「減価償却費」です。
法定耐用年数とは?
法定耐用年数は、減価償却できる資産が使用できる年数を示したものです。
法定耐用年数は法律によって細かく定められています。
法定耐用年数の期間は減価償却が可能なので、法定耐用年数が17年の太陽光発電設備の場合は17年間にわたって減価償却ができます。
なお、法定耐用年数は寿命とは異なり、太陽光発電設備の寿命は一般的に20~30年と言われています。
太陽光発電の減価償却のメリットとは
太陽光発電には家庭用と産業用(事業用)の2種類があります。
家庭用の場合はソーラーパネルの容量が少なく、年間の売電収入が20万円を超えることが少ないため、減価償却を行えるのは産業用のみです。
太陽光発電設備は高額な資産なので、減価償却をすれば大きなメリットを享受できます。
以下の減価償却のメリットは太陽光発電設備以外でも共通するため、ぜひ参考にしてくださいね。
節税になる
太陽光発電設備の支払いが初年度のみであっても、減価償却をすれば法定耐用年数である17年間にわたって、毎年少しずつ経費として計上することができます。
経費を多く計上できれば所得を抑えることができ、節税になります。
特に太陽光発電設備の法定耐用年数は17年と長いので、節税メリットを長期間にわたって受けることができます。
財務負担を減らせる
減価償却をしてもその分の支払いはすでに済んでいるため、経費は計上できるのに手元にはお金が残ります。
新たな支出がないので、業績に影響を与えにくいメリットがあります。
財務状況を良好に見せることができる
減価償却を行わないと、多額の資金を一度に支払うことで黒字から赤字になってしまうことも。
融資を受けている場合などは、赤字によって財務状況悪化とみなされ、融資を打ち切られるリスクがあります。
減価償却をすることで、たとえ支払いを一度に済ませていたとしても、その期の費用負担を減らすことができます。
太陽光発電の減価償却の計算方法とは?
減価償却の計算方法には定額法と定率法があります。
定額法と定率法について、簡単にまとめますと次のようになります。
- 定額法…毎年「一定額」を減価償却していく方法
- 定率法…毎年「一定の割合で算出した額」を減価償却していく方法
わかりやすい数字を使って、実際に定額法と定率法で計算してみましょう。
<定額法>
1,700万円の太陽光発電を購入した場合。
耐用年数の17年で割ると、100万円/年となり、毎年100万円ずつ経費として計上できます。
<定率法>
固定資産別に償却率が決まっており、太陽光発電の場合は「0.118」を用いて計算をします。
1,700万円の太陽光発電を購入した場合の減価償却費。
- 初年度:1,700万円×0.118=200.6万円
- 2年目:(1,700万円ー200.6万円)×0.118=約176.9万円
- 3年目:(1,700万円ー200.6万円ー176.9万円)×0.118=約156.1万円
といった計算で、減価償却費は初年度が最も高く、徐々に下がっていきます。
定率法では「償却保証額」が定められていて、計算後の償却金額がこの金額を下回った場合でも、償却保証額を償却することができます。
1,700万円の場合、定率法の0.118で計算していくと、法定耐用年数の17年では償却が完了しないため、未償却の残高が償却保証額を下回った段階で定額法に変更になります。
1,700万円の太陽光発電の保証額は、1,700万円×0.04038(太陽光発電の保証率)=68万6,460円です。
この償却保証額を下回った年に、償却率より割合が高い「改定償却率(耐用年数17年の償却資産の場合は0.125)」を用いて計算をします。
計算に用いる償却率などの数値は変更されることがありますので、計算の際には「耐用年数省令別表十」で最新のものをご確認ください。
定額法と定率法には、それぞれメリットとデメリットがあります。
「産業用の太陽光発電は減価償却で節税!計算方法や注意点も知ろう」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧くださいね。
減価償却とは法人には欠かせない会計処理
「減価償却」とは時間や使用によって価値が減ってしまう資産を、法律で定められた耐用年数を元に、毎年一定額もしくは一定の割合で経費として計上していくことを指します。
設備投資などで一度に多額の支出が出やすい法人にとって、無くてはならない会計処理の一つです。
太陽光発電においても、減価償却は大きなメリットがあります。
節税効果が高いばかりでなく、財務状況を安定させて業績に影響を与えにくいので、企業運営に良い影響を与えてくれるでしょう。
計算方法には毎年一定額を計上する定額法と、毎年一定の割合をもとに計算した額を計上する定率法があります。
計算方法は経営実態や事業計画に合わせて賢く選んでくださいね。