2023.12.07

太陽光発電の入札制度とは?対象や仕組み、背景などを解説!

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こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。

 

FIT制度では売電価格が定められていますが、ある一定の基準を満たす大規模太陽光発電所では入札制度が導入されています。

 

今回は、太陽光発電における入札制度とはどんなものなのか、仕組みや対象、落札後の流れについて解説していきます!

ビッドハンマー

 

 

太陽光発電の入札制度とは?

FIT(固定価格買取制度)により定められている太陽光発電の売電価格は、発電容量によって異なります。

 

2020年度は、250kW未満の発電所に関してはそれぞれの区分で固定価格が定められていますが、250kW以上の大規模発電所の売電価格は「入札価格」となっています。

入札方式は2017年に改正FIT法が制定されてからの実施のため、まだ日が浅く、2020年度の入札は第6回・第7回の計2回です。

 

2020年度の太陽光発電の入札については、経産省が以下のように発表しています。

  • 入札対象:出力250kW 以上の太陽光発電設備
  • 募集容量:1,500MW(第6回:2020年度上半期750MW、第7回:2020年度下半期750MW)
  • 調達期間:20年間
  • 入札価格の上限:入札募集開始までに決定するが非公表。開札後に公表

※さらに詳しくは、一般社団法人低炭素投資促進機構「入札実施要綱(太陽光発電)2020年度改訂版 」を参照してください。

 

入札価格には上限がありますが、非公表のため、昨年度までの実績から予想するほかありません。

ちなみに、第5回(2019年度下期)の入札では、入札対象は出力500kW以上の太陽光発電設備で募集容量は416MWだったところ、実際の入札件数は72件、合計容量は186MWで、募集容量を下回る結果となりました。

 

落札したのは27件・40MWで、結果は以下の通りです。

  • 平均入札価格:13.38円/kWh
  • 平均落札価格:12.57円/kWh
  • 最低落札価格:10.99円/kWh

第4回の平均入札価格は13.46円/kWhだったため、若干の下落があったことがわかります。

これについては、太陽光発電設備のコストダウンが進んだことと、入札における価格競争が強まったことが要因として考えられるでしょう。

資源エネルギー庁 2020年度の調達価格等・入札制度 に関する残された論点 参照

 

2020年度は入札対象が250kW以上と拡大されたため、さらなる価格競争の広がりが予想されます。

 

太陽光発電の入札制度の手続きや流れをご紹介!

太陽光発電の入札制度について、①入札前の手続き、②入札から落札まで、③落札後の流れを順番にご説明します。

 

① 入札前の手続き

以下のすべての手続きを事業計画の受付期間中に行わないと、入札に参加できません。

  • FIT電子申請システムで認定の申請を行う
  • FIT電子申請システムで作成した事業計画及びFIT電子申請システムに添付した書類を、紙媒体にプリントアウトし、押印したうえで発電設備の設置場所を管轄する地方経済産業局に送付する
  • 入札システムから入札案件登録を行い、入札IDを取得する

入札参加資格の審査結果の可否については、事業計画の提出日(入札案件登録日)の翌日から3ヶ月以内に、事業計画の提出者に対してメールで通知されます。

 

 

② 入札から落札まで

入札資格を得たら、保証金を支払って入札へ進みます。

入札募集受付締め切り後、低炭素投資促進機構で落札者と買取価格が決定されます。

 

 

③ 落札後の流れ

落札できた事業者へは、低炭素投資促進機構からのメールにて通知がきます。

通知期限はそれぞれの落札回によって定められていますので、低炭素投資促進機構の資料などをご確認ください。

落札者は2回目の保証金を期日までに支払います。

 

その後はFIT認定申請の補正申請になります。

電力会社の接続同意書を提出していなかった場合は、補正申請のタイミングで提出しておきましょう。

 

事業計画の補正を行う必要があるのは、以下の書類の添付を行っていない場合です。

  • 系統接続に係る事項の記載
  • 接続の同意を証する書類

補正を行う場合は、定められた期日までにFIT電子申請システムより事業計画を補 正します。

期限を破った場合には期限内に認定が得られないといったペナルティが課せられる可能性もありますので注意しましょう。

 

補正が不要な場合は、落札後、各地方経済産業局から認定通知書が送付されます。

 

 

太陽光発電に入札制度が導入された背景とは?

指差しするビジネスマン

なぜ、太陽光発電で入札制度が必要になったのでしょうか?

その理由は「FIT制度によって国民全体の負担が増えたから」なんです。

 

「国民全員が太陽光発電を付けたわけでもないのに、なんで負担が増えたの?」と疑問に感じられる方も多いでしょう。

 

FIT制度では発電した電力を一定期間、固定価格で買い取ることを保証しています。

実は、電力会社が太陽光発電などの再生可能エネルギーを買い取る際に発生する費用を、消費者は有無を言わさず負担させられているのです。

 

電力会社からの「電気使用量のお知らせ」などに「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」といった表記があるのをご存知でしょうか?

 

再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの買取の原資となっており、単価は全国一律にkWhあたりの単価が毎年国によって設定されています。

電気の請求書にて、「再エネ賦課金の単価×家庭の電気使用量(使用電力量)」の額が毎月の電気代に含まれて請求されているのです。

 

この再エネ賦課金は、電気を使っていれば必ず請求されます。

 

FIT制度が再生可能エネルギーの普及を目的とし、実際に普及率も上がってきていますが、それに比例して再エネ賦課金も値上がりしています。

 

再生可能エネルギーの普及をはかりつつ、国民の負担も減らす。

そのためには、売電価格を見直すしかありませんね。

そこで「入札制度」を導入することによって、適正な価格競争を生み出すことができると考えたワケです。

 

入札価格が不当に吊り上がらないように上限価格が設定されていますが、これは発電設備のコスト低減率などから計算された適切な数字です。

 

入札制度を導入した2017年当初は、入札対象は2MW(2000kW)以上の発電所でした。

しかし募集容量に達しないなどの理由から、2020年には250kWへと範囲が広げられています。

そのため、今後も入札対象や制度などは変わっていくことが予想されます。

 

 

太陽光発電の入札制度とは国民負担軽減を狙ったもの

2017年の改正FIT法から始まった入札制度。

当初は2MW以上の超大規模発電所のみが入札対象でしたが、国の目標値には遠く及ばない数字でした。

 

2019年に入札対象は500kW以上となり、さらに2020年度は250kW以上へと拡大。

事業者間の価格競争を働かせ、適正な価格へと導くことを狙っています。

 

太陽光発電設備は普及によって設備費が安くなっているのに対し、再生可能エネルギー買取の原資となっている「再生可能エネルギー賦課金」は、再生可能エネルギー普及に伴い値上がりをしている状況です。

 

設備費用のコストダウンを反映させつつ、国民の負担も減らす。

そのために、入札制度の広がりは欠かせないものとなっています。

 

とは言え、再生可能エネルギーの普及も国としては喫緊の課題です。

太陽光発電投資をしながらエネルギー問題について考えませんか?

福島のアースコムにお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

堀口優人 マーケティング部

広報担当として、太陽光発電所の物件情報、節税や償却などの専門知識を発信。より良いサービスを提供できるよう市場調査にも注力している。

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