2023.12.07
合同会社は節税しやすい?メリット・デメリットや株式会社との違い
いつも当コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社アースコム、取締役副社長の丸林です。
近年、名前をよく聞くようになった「合同会社」。
実は、2006年に新たに設立できるようになった法人の一つなんです。
世界的に有名な企業の日本法人も、合同会社を選んでいます。
なぜ合同会社が選ばれるのか?それは、メリットがあるからですよね。
今回は合同会社のメリットの一つである節税についての話や、それ以外のメリット、株式会社や個人事業主との違いなどについて解説します。
目次
そもそも合同会社とは?株式会社との違い
合同会社も株式会社も「法人」ですが、種類が異なります。
株式会社は株を集めて設立の資金にし、株の出資比率がモノをいいます。
株の出資比率が大きいほど意思決定の優先度は高くなりますし、利益も出資比率に応じて分配されます。
合同会社の場合は株を発行して出資を募ることができないため、そもそも意思決定の場である株主総会のようなものが存在しません。
意思決定権はみな平等にあり、利益の分配率も自由に決めることができるため、貢献度などに応じた分配も可能です。
コストの面でも、株式会社より費用を抑えることができるのが合同会社です。
まず法人設立にかかる費用が、株式会社が242,000円であるのに対し、合同会社は102,000円と約半額です。
また、ランニングコストでも、株式会社は毎年決算公告のために毎年60,000円かかりますが、合同会社は決算公告の義務が無いため費用がかかりません。
ただ社会的信用においては、優位なのは株式会社です。
代表者の取り扱いも、株式会社では「代表取締役」であるのに対し、合同会社では「代表役員」となります。
事業をさらに広げていく可能性が高いのであれば、社会的信用度の高い株式会社を設立した方がよいでしょう。
合同会社が節税しやすいのはなぜ?理由を解説
合同会社が個人事業主と比較して節税しやすい理由は、主に3つあります。
① 法人税率の適用で節税
個人事業主の事業所得は「個人所得」として扱われるため、超過累進課税が適用されます。
得が高くなればなるほど税率も上がり、最高税率は45%にもなります。
一方、合同会社は法人なので、税の計算には「法人税率」が適用されます。
資本金が1億円以下の場合、法人税は課税所得が800万円以下の場合は15.0%、800万円以上は23.9%なので、所得額によっては個人事業主よりも納める税金を少なくすることができるのです。
具体的には、所得が3,300,000~6,949,000円のときと、9,000,000円以上のときは法人のほうが納税額を抑えられます。
② 役員報酬で節税
節税のポイントは給与の取り扱いの違いにもあります。
個人事業主の場合は「個人の所得=事業の所得」となり、所得のすべてが納税対象ですが、合同会社であれば「役員報酬」として個人に給与を支払う形になります。
役員報酬という形で給与を払うことで、経費として計上が可能です。
さらに個人の役員報酬には所得税がかかるものの、「給与所得控除」があるため節税になります。
生命保険料や慶弔費などの費用も法人は経費として扱えるため、経費として扱える範囲が広く、節税効果もより高くなります。
③ 消費税免除で節税
合同会社は株式会社と同じように、消費税免除が受けられます。
資本金1,000万円以下で、かつ特定期間の課税売上高が1,000万円以下、もしくは特定期間の給与等支払額の合計額が1,000万円以下の場合、設立から2年間は消費税納税免除が受けられます。
節税だけじゃない!合同会社のメリット
合同会社は節税以外にも多くのメリットがあります。
個人事業主よりも社会的信用が高い
社会的信用度は個人事業主→合同会社→株式会社の順に高くなり、信用度が高い方が取引先としての安定感があります。
融資が受けやすくなる、取引がスムーズに進むなど、事業を円滑に進めることにつながるでしょう。
意思決定の自由度が高い
株式会社のように株主が経営にかかわることがないため、意思決定の権利が平等。
会社としての自由度が高まります。
負債の支払いに上限がある
個人事業主は責任の範囲が無限になっており、負債は全て個人が抱えることになります。
合同会社や株式会社は有限責任なので、負債を負うのは出資した範囲に限定されます。
設立費用やランニングコストが株式会社より抑えられる
前半で述べたように設立費用は株式会社の約半分になり、ランニングコストは株式会社だと毎年かかる60,000円をカットすることができます。
設立のハードルが低く、事業を起こしやすいと言えるでしょう。
合同会社のデメリットもある?
合同会社にはデメリットとなる部分もあるため、会社の方針やメリットと併せて検討する必要があります。
社員同士の利益に絡むトラブルが起きる可能性
合同会社の意思決定の自由度が高いことはメリットですが、逆にだれもが平等に意見を言うことができるため、まとまりにくい・揉めやすいというデメリットにもなります。
利益配分も個人の能力や貢献度などを加味して決めることができる反面、株式会社のような「出資比率」といった明確な基準が無いため、トラブルのもとになりやすい面があります。
社会的信用は株式会社に比べてやや低い
社会的信用は個人事業主よりは高いですが、株式会社よりは低くなります。
代表としての肩書も「代表役員」にとどまります。
また、合同会社は比較的新しい形態の法人なので知名度はあまり高くなく、株式会社のみ取引可能という企業もあるため、やや不利になるケースも出てくる可能性があります。
大規模な資金調達が難しい
合同会社は株式を発行できないので、大規模な資金調達が難しいというデメリットがあります。
合同会社は設立のハードルは低いが個人事業主よりも節税可能
合同会社は株式会社と同じような節税メリットを享受することができるのに、設立にかかる費用やランニングコストは抑えることができ、設立のハードルが低いのもポイント。
株式に頼らない出資によって設立するため、意思決定の自由度が高く、個人の能力や貢献度に合わせた利益配分も可能です。
ただし社会的信用は個人事業主よりも高いものの、株式会社よりはやや劣り、知名度もさほど高くありません。
意思決定の自由度が高いことでトラブルにつながることもあるため、一人会社でない場合は信頼できるパートナー選びも肝要になります。
デメリットもある合同会社ですが、海外の有名企業の日本法人の多くが合同会社として設立されているのは注目すべき点と言えるでしょう。
節税効果を狙うなら太陽光発電投資などの設備投資を行う方法もあります。
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