2024.03.26
2024年4月スタートの発電側課金をわかりやすく解説!
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。
2024年4月より、発電側課金の制度が導入されます。
これまでは送配設備の維持・拡充などの費用は小売事業者(需要側)が負担してきました。
今後は、発電側課金の導入により、発電事業者(発電側)も一部負担するようになります。
今回は、発電側課金の概要や導入される背景などをわかりやすく解説します。
あわせて発電側課金の対象となる事業者や課金方法、支払い方法なども確認していきましょう。
目次
2024年4月に開始する発電側課金とは?わかりやすく解説!
発電側課金の制度の概要や目的、制度の背景・目的についてそれぞれ解説していきます。
発電側課金の概要
発電側課金は「系統連系受電サービス料金」ともいい、託送料金を、小売事業者(需要側)だけでなく、発電事業者(発電側)にも一部負担を求める制度です。
この託送料金とは電気を送電するために必要な送配電ネットワークの利用料のことで、送配電設備の維持や拡充にかかる費用などが含まれます。
これまで、託送料金は、小売事業者が100%負担していました。
2024年4月より導入される発電側課金では、託送料金を発電事業者10%、小売事業者90%の割合で負担することになります。
課金方法や支払い方法については、後ほど詳しくご説明しますね。
発電側課金を導入した背景と目的
発電側課金の制度を導入した背景として、託送料金のコストとして固定費が80%を占める一方で、実際は託送料金を電気代の基本料金として30%程度しか回収できておらず、このままだと回収不足に陥る可能性があったことが挙げられます。
回収不足に陥れば、送配電網の維持や運用に支障をきたしてしまうため、検討されることになったのが一つです。
また、人口減少や省エネルギーの推進により電力需要が減っている中で、再生可能エネルギーの導入が拡大し、電力系統の増設が行われたこと、送配電設備の老朽化にともなう修繕・取替などが増加したことから、送配電関連費用が高騰する方向に。
こうした変化に対応するために託送料金の抑制が必要であり、一般送配電事業者の経営効率化、送配電網の効率的な利用を促すことも目的としています。
そして送配電網は、小売事業者だけでなく発電事業者も利用しているため、公平な負担になることも加味し今回の導入に至ったのです。
発電側課金の対象となる事業者と課金方法は?
発電側課金については、基本的にすべての発電事業者が対象となりますが、一部対象外の事業者もあります。
対象となる事業者と課金方法、支払い方法についても確認していきましょう。
発電側課金の対象となる事業者
以下に該当する発電所以外については、すべて課金の対象となります。
- 家庭用太陽光発電など電力系統への逆潮が10kW未満の電源
- FIT/FIP制度の調達期間内の電源
逆潮(さかしお)とは、発電設備から電力系統へ電気を流すことをいいます。
家庭用太陽光発電など小規模の発電設備であれば、10kW未満であるかを確認しましょう。
また、2024年4月以前に認定を取得したFIT/FIP案件については、買取期間が終わったあとからの課金となります。
ソーラーシェアリングの発電量がどれくらいか確認するには、こちらのコラムで詳しく解説しています。
あわせて参考にしてみてくださいね。
ソーラーシェアリングの発電量はどのくらい?収益性や始め方も詳しく!
発電側課金の課金方法
実際の課金方法としては、基本料金である「kW課金(固定料金)」と「kWh課金(従量料金)」の合計となります。
kW課金(固定料金)
基本料金は、同一需要場所の「発電側kW ‐ 需要側kW」に基本単価を乗じて算出します。
これは自家消費型太陽光発電のように、需要と発電が同一地点にある場合、発電事業者(発電側)のkWが小売事業者(需要側)のkWを上回った分に課金される仕組みです。
逆に下回った場合は不使用となり、基本料の課金額が半額になります。
kWh課金(従量課金)
従量課金は、メーター計測値によって算定される料金です。
揚水発電設備や蓄電池が設置された場所でのkWh課金は免除されます。
発電側課金の支払い方法
発電側課金については、発電量調整供給契約の仕組みを使って課金・回収されます。
発電設備は、託送供給等約款に基づき、自らまたは発電BG(バランシンググループ)が一般送電事業者との間で締結する発電供給契約の枠組みに参加しているため、この仕組みが活用されるのです。
発電BGとは、複数の発電者や電力小売事業者が集まってできた責任グループで、代表者契約制度とも呼ばれます。
発電側課金の課金単価の設定方法
続いて、課金単価の設定方法について解説していきます。
発電側課金で回収する送配電設備費用については、発電事業者(発電側)・小売事業者(需要側)の両方で使用している上位系統(基幹系統および特別高圧系統)にかかる費用のうち、固定費を発電事業者および小売事業者で等しく負担します。
割引制度もあるので、あわせてご説明していきましょう。
単価算定方法
単価算定については、次の2段階の計算方法で対応します。
計算方法ステップ①
上位系統の固定費のうち、発電事業者の原価の割合を算定します。
引用:発電側課金の導入について中間とりまとめ(電力・ガス取り引き監視等委員会)
計算方法ステップ②
発電事業者側の負担原価をkWとkWhの1:1で按分し、単価を算出します。
引用:発電側課金の導入について中間とりまとめ(電力・ガス取り引き監視等委員会)
割引制度
発電側課金では、需要地近郊ですでに送配電網が手厚く整備されている地域など、送配電網の追加増強コストが小さい地域については、負担額を軽減する措置が取られています。
割引により負担額の小さい地域への導入が促進される仕組みです。
発電側課金はコストの削減・公平な負担を目的に導入へ
これまで送配電網の維持や拡大にかかっていた費用は、小売事業者が負担をしてきました。
この費用は、託送料金として電気料金に含まれるため、工場や店舗などの需要家や消費者が負担しています。
再生可能エネルギー拡大による送電網の需要などで送配電費用が高騰したことから、送配電費用を抑制するため、そして公平な費用負担になるようにするために、発電事業者側にも一部費用を負担する発電側課金が導入されました。
発電側課金が導入される2024年4月からは、発電事業者側も10%の送配電費用の負担が必要となり、家庭用太陽光発電などの10kW未満の発電量か、FIT/FIP制度の調達期間内の電源以外には課金されます。
課金については、基本料金である「kW課金(固定料金)」と「kWh課金(従量料金)」の2つの方法で計算され、両方を合計したものが発電側課金の費用となります。
課金はエリアによって割引の対象となる場合もありますので、割引対象であるかも確認すると良いでしょう。
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