2021.02.22

太陽光発電の高圧・低圧の違いとは?メリットデメリットや注意点も

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こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。

 

太陽光発電の物件情報などで「高圧」「低圧」という文字を見かけたことはありませんか?

高圧や低圧というのは発電所の規模や区分を表しており、知っておかないと不利益を被ってしまう可能性もあります。

 

今回は、太陽光発電の高圧・低圧の違いや、それぞれのメリットとデメリットを解説します。

特に低圧の発電所に関しては注意点もありますので、しっかりと理解してくださいね。

コルクボードにdownとupの紙

 

 

太陽光発電の高圧と低圧とは?それぞれの違いを解説

太陽光発電の「高圧」や「低圧」という言葉は、正式には「高圧連系」「低圧連系」と呼びます。

太陽光発電所で発電した電力は、電力会社に接続しなければ送電ができません。

電力会社との接続をするにあたり、発電所の規模を表すために「高圧」や「低圧」といった区分を用います。

 

高圧と低圧の最も分かりやすい区分は以下のようになります。

  • 高圧:発電所の設備容量が50kW以上
  • 低圧:発電所の設備容量が50kW未満

 

他に、高圧は電圧区分が交流のとき600V超~7,000V以下で直流では750V超で7,000V以下、低圧は交流のとき600V以下で直流では750V以下といった決まりがありますが、大まかな理解としては「50kW未満かそれ以上か」という程度で大丈夫です。

 

ちなみに、1,000kW以上の発電所はメガソーラーと呼ばれる大規模な発電所ですが、2,000kW(=2MW)以上の発電所は「特別高圧」と分類されます。

 

発電所の設備容量は、ソーラーパネルかパワーコンディショナー(パワコン)のうち、いずれか小さい方の値で区分が決まります。

例えばソーラーパネルが100kW、パワコンが49.5kWのときは、パワコンの容量が50kW未満なので低圧に分類されます。

 

パワコンの出力容量以上のパネルを載せることで発電量を増やせる「過積載」を採用する場合も、ソーラーパネルの容量が50kWを超えてしまっても、パワコン容量が50kW未満であれば低圧になります。

 

太陽光発電で高圧・低圧の各メリットデメリットは?

「発電所の設備容量の違いだけなら高圧でも低圧でも問題がないのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

実は、他にも高圧と低圧は設備容量以外にも違いがあります。

 

それぞれメリット・デメリットについて高圧と低圧の違いも絡めて解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

 

高圧のメリット・デメリット

<高圧のメリット>

  • スケールの大きい投資ができる
  • 低圧に比べ、1kWあたりの設備単価が安くなる傾向にある

 

発電容量が大きく、1kWあたりの設備単価も安くなるため、利回りが低圧に比べて高くなります。

 

<高圧のデメリット>

  • 発電設備が大きくなるため初期費用が高くなる
  • キュービクル(変圧器)の設置が必要なので費用がかかる
  • 管轄の消防署へ保安規定の届出が必要
  • 電気主任技術者の設置が必要
  • 太陽光発電の設置には第一種電気工事士または認定電気工事従事者による作業が必要

 

高圧は発電所(自家用電気工作物)となるため、経済産業省が定める技術基準に適合させ、安全に維持・管理する義務が発生します。

そのため届出や手続きが煩雑になり、さらにキュービクルの設置や電気主任技術者の設置などによって、ランニングコストが増えてしまう点はデメリットです。

 

高圧の発電所はスケールの大きな投資ができるという点が大きな魅力ですが、例えば発電容量が100kW程度の場合、高圧にかかるランニングコストや手続きの手間とのバランスが取れない可能性もあるので注意が必要です。

 

低圧のメリット・デメリット

<低圧のメリット>

  • 管轄の消防署への届出は不要であるなど手続きが簡単
  • 発電所の規模が小さいので参入しやすい
  • 設置は第二種電気工事士でも可能
  • 高額なキュービクルや電気主任技術者の設置は不要

 

高圧の発電所で義務化されているような届出や手続きがなく、発電所自体の規模も小さくなるため初心者でも始めやすいのが低圧のメリットです。

キュービクルや電気主任技術者の設置も不要なのでランニングコストも下がります。

 

<低圧のデメリット>

  • 高圧に比べ1kWあたりの設備単価が高くなる傾向にある
  • 土地の坪単価が高くなる傾向にある
  • 規模が小さすぎると収益と支出のバランスが取れない可能性がある

 

50kW未満の土地では、地目が宅地になっていることがあり、高圧の大規模な発電所を建設する場合の地目が「山林」などの場合に比べて坪単価は高くなりがちです。

 

設備全体の費用が少ないために初心者でも参入しやすい反面、1kWあたりにかかるコストは高圧に比べて高くなりがちなので、発電所の規模によっては収益が出づらくなる可能性があるでしょう。

 

 

低圧の太陽光発電では注意点も!

バツマークを出すビジネスマン

手続きの煩雑さがなく、ランニングコストも抑えられる低圧の太陽光発電ですが、注意点もあるので気をつけましょう。

 

注意点その1・低圧分割の禁止

90kWの発電所は「高圧」ですが、45kWの発電所2つに分けてしまえば低圧の発電所になります。

実はこのやり方は、一時期行われていた「低圧分割」という方法です。

 

2014年4月から低圧分割は禁止されていて、現在では「同一の申請者から同時期または近い時期に申請された複数の同一設備」や「複数の申請にも関わらず近接していて同一の場所と認められるもの」は低圧分割とみなされるため注意しましょう。

 

注意点その2・低圧発電所は余剰売電のみ

FIT制度の改正により、2020年4月から10kW以上50kW未満の太陽光発電所は「地域活用案件」が義務化され、発電した電力のうち30%以上を自家消費することが条件となり、余剰買取のみになりました。

 

太陽光発電を取り入れるうえで、自家消費によって削減できる電気代や節税対策としてどの程度の効果を発揮するかなど、諸々のバランスを考えて設置をする必要があるでしょう。

 

 

太陽光発電の高圧と低圧の違いを知って適切に判断しよう!

太陽光発電では大まかな分類として、発電容量50kW以上を高圧、50kW未満を低圧と分けています。

 

高圧はスケールが大きいため大胆な投資ができ、高い利回りが期待できる一方、手続きの煩雑さやランニングコストがやや高くなりがちというデメリットがあります。

 

低圧は複雑な手続きが不要で、高額な設備もいらないためランニングコストが安く、初期費用も抑えられるので初心者でも参入しやすいというメリットがありますが、1kWあたりのコストは高圧に比べて高くなりがちです。

 

また、低圧の発電所では余剰売電のみであることや、高圧の発電所を分割して低圧に認定する「低圧部下」が禁止事項となっているため注意しましょう。

 

高圧の発電所も低圧の発電所もそれぞれにメリットとデメリットがあります。

ご希望の投資方法や活用方法に合わせて選ぶことが大切です。

 

アースコムでは、低圧・高圧の太陽光発電投資物件がお探しいただけます。

ぜひご覧ください!

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この記事を書いた人

堀口優人 マーケティング部

広報担当として、太陽光発電所の物件情報、節税や償却などの専門知識を発信。より良いサービスを提供できるよう市場調査にも注力している。

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