2023.12.04
太陽光発電投資の消費税還付とは?メリットや判断基準をご紹介!
いつも当コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社アースコム、取締役副社長の丸林です。
太陽光発電投資には消費税還付があります。
太陽光発電投資は多額の資金を投入することが多いため、還付があるならできれば受けたいという方も多いでしょう。
ただし、条件を満たさなければ還付はありません。
また、消費税が還付されたとしても、一概に「お得」とは言えない可能性もあります。
太陽光発電投資の消費税還付を受ける条件や、還付を受けるメリット・デメリット、受けるべきかどうかの判断基準について知っておきましょう。
目次
太陽光発電投資の消費税還付とは?
太陽光発電投資において、投資家は「事業者」という位置付けです。
太陽光発電投資を開始する際には、設備の購入やメンテナンス代など初期費用がかかり、それらの購入には消費税がかかります。
事業者(太陽光発電投資家)は電力の供給を行ったとき、電力会社から消費税込みの電気料金を受け取ります。
ただし消費税は収入にはならず一度預かった形になるため、税務署へ納付しなければなりません。
最終的に税務署へ納付するのは、電力を供給した際に受け取った消費税から、仕入れにかかった商品の消費税を差し引いた額になります。
ただ、初期投資費用がかかり過ぎた場合や、経営がまだ軌道に乗っておらず電力の供給量が少ない場合などは、預かった消費税より支払った消費税の方が多くなります。
その場合、消費税の差額が還付される仕組みになっています。
これが、太陽光発電投資における「消費税還付」です。
例えば、事業を始めるにあたって太陽光発電システムの設備購入で2,200万円かかった場合は、消費税が10%の200万円です。
売電収入が税込220万円のとき、預かる消費税は20万円なので、通常であれば180万円を消費税として納付しなければなりませんが、これがすべて還付されます。
ただし、次でも説明しますが3年分は必ず消費税を払わなければいけないため、預かる消費税20万円分を3回で60万円を200万円から引いた140万円の還付となります。
太陽光発電投資で消費税還付を受けるための条件とは?
事業者の扱いには、課税事業者と免税事業者の2パターンがあります。
課税売上高税抜1,000万円以上→課税事業者
課税売上高税抜1,000万円未満→免税事業者
免税事業者とは、売電収入が1,000万円未満の場合は、消費税は納めずに収入として良いとされています。ただし、消費税還付はありません。
課税事業者は消費税を納める代わりに、消費税還付が受けられる権利が発生します。
消費税還付が受けられる課税事業者になるための条件
課税事業者になるためには、課税売上高税抜1,000万円以上であることが条件ですが、対象となる期間が定められています。
- 個人事業主の場合…2年前の売り上げが税抜1,000万円以上
- 法人の場合…2年前の事業年度の売り上げが税抜1,000万円以上
例えば、令和6年に確定申告を行う場合は以下の期間が対象になります。
- 個人事業主…令和4年度の1月1日~12月31日の売り上げ
- 法人(3月決算)…令和4年4月1日~令和4年9月30日の売り上げ
他に、「特定期間内」に課税売上高と給与収入額が合わせて1,000万円以上の事業者、または課税売上高が1,000万円に満たない場合でも資本金や出資金が1,000万円を超える法人を設立した事業者は、課税事業者となります。
特定期間には以下のような定めがあります。
- 個人事業主…2年前の1月1日から6月30日
- 法人(3月決算)…2年前の4月1日から9月30日
免税事業者が課税事業者になる方法もある
消費税の支払い義務がない免税事業者ですが、太陽光発電投資は初年度の支払額が多くなりがちなため、還付を受けたほうが良いと判断するケースもあるでしょう。
その場合は「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで課税事業者となり、次年度の消費税還付が受けられます。
注意したい点は3つあります。
- 初めて事業を開始する場合は、年の12月31日までに届けを出さなければならない
- 措置を受けられるのは1年間のみ
- 3年間は課税事業者として消費税の納付義務がある
ただし個人事業主や法人で既に事業を行っていて、今の段階で免税業者なのであれば、事業開始の前の年(課税期間の初日の前日)に届け出を出して課税事業者になっておかなければなりません。
極端な話をすると、例えば個人事業主なら令和2年12月31日に届出を出すと、令和3年1月1日から課税事業者となります。
太陽光発電のシステムの購入日が令和2年12月30日の場合は、まだ免税事業者なので還付を受けられません。
還付を受けるためには、令和3年1月1日以降に購入する必要があります。
届出を提出する期日には注意が必要です。
また、3年は消費税を納めなければいけませんが、4年目からは売電収入が1,000万円を超えなければ「課税事業者選択不適用届出書」を提出して免税事業者に戻ることができます。
太陽光発電における消費税還付のメリット・デメリットとは?
消費税還付を受けるかどうかを判断するには、メリットとデメリットを知ったうえで検討する必要があります。
事業の規模によっても考え方が異なる部分なので、よく把握してから選びたいところです。
消費税還付のメリット
消費税還付のメリットをご紹介します。
<メリット>
- 償却負担税が軽くなる
- 利回りがアップする
①について、償却資産税は購入した資産にかかる税金で、太陽光発電の場合は購入額の1.4%です。
消費税還付を受ける場合は消費税の申告をしますが、税抜処理か税込処理を選ぶことになりますが、税抜処理をすることで償却資産税が軽くなります。
②について、消費税が戻ってくるため当然、利回りはアップします。
太陽光発電投資にかかった費用を早期に回収できるチャンスと言えます。
消費税還付のデメリット
消費税還付のデメリットをご紹介します。
<デメリット>
- 消費税を納める必要がある
- 事務処理負担が増えるなど
①について、3年間は課税事業者として消費税を納める必要があるというお話はしましたが、毎年納付できるかどうかの判断や、払う消費税より還付が多くなりそうかを事前に考える必要があります。
また、3年後に売電収入が1,000万円を超えていると、免税事業者にはなれません。
事業拡大の可能性がある場合は、気をつけましょう。
②について、メリットの一つである償却資産税の減額のためには経理処理が必要です。
消費税の申告も3年間必要になるため、事務処理負担が増加します。
さらに、4年目以降の納税を止めるために免税事業者に戻る必要がありますが、この手続きも3年目のうちに提出するのを忘れずに行わなければいけません。
自身や自社での事務処理が難しい場合は税理士にお任せすることになるため、依頼代がかかってしまうこともネックです。
消費税還付は受けるべき?判断基準とは
太陽光発電投資における消費税還付は、大きな負担となる初期費用を早く回収できる手段の一つです。
そのため免税事業者であっても、あえて課税事業者となった方が「お得」と考えられる方は多いでしょう。
ただし、デメリットに挙げた「消費税を納付が可能かどうか」「払う消費税より還付が多くなりそうか」の判断や、「事務処理の負担増加」と消費税還付を天秤にかけたときに、どのくらいのメリットがあるかを考える必要があります。
特に事務処理については負担が大きく、書類作成が難しかったり、時間がかかったりする他、自社で対応した場合にはきちんと処理が行われているかを審査するため、税務調査が入りやすいというデメリットも。
税務調査は平日に行われるため、丸一日、通常業務ができないといった弊害もあります。
税理士にお任せした場合には、プロによる処理のため税務調査は入りにくいと考えられますが、その分税理士費用はかかってしまいます。
かけるコストや手間に対して、消費税還付をするとどのくらい恩恵が受けられるのかが、判断基準と言えるでしょう。
太陽光発電投資では消費税還付ができるが判断は慎重に
太陽光発電投資家は、太陽光発電システムなどの購入費用にかかった消費税が、売電収入にかかる消費税よりも大きい場合に消費税の還付が受けられます。
消費税の還付が受けられるのは課税事業者ですが、免税事業者であっても届出を出すことで課税事業者になることができます。
消費税還付のメリットは利回りが良くなることと、償却資産税が少なくなること。
初期投資費用がかかりがちな太陽光発電投資ではうれしいポイントでしょう。
デメリットとしては、消費税を3年間は必ず払わなければいけないことと、事務処理の負担が増えることが挙げられます。
事務処理を税理士に任せる場合には、税理士費用の負担も増えます。
消費税還付を受ける恩恵が、かけたコストや手間と見合っているのかを判断基準の一つとして、検討してみましょう。
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