2022.03.17
ソーラーシェアリングはビニールハウスで行うのもおすすめ!
株式会社アースコム 代表取締役の丸林です。
農地に高さ2m以上の支柱を立て、パネル下部では農業、パネル上部では太陽光発電を行う営農型太陽光発電をソーラーシェアリングといいます。
農地に支柱を立てるイメージが強い方もいらっしゃるかと思いますが、実はビニールハウスとの相性も良いのです。
今回は、ソーラーシェアリングをビニールハウスで行うのにおすすめの理由と、実際に行われている日本での実例をご紹介します。
目次
ビニールハウスでのソーラーシェアリングがおすすめな理由
ビニールハウスでソーラーシェアリングをするのにおすすめな理由は3つあります。
1つめは、ハウスに使う高い燃料代を、発電した電力でまかなえることです。
ハウスでは、特に冬場は暖房代が大きくかかります。
その代わりに、ハウスで育てた農作物は高単価で売れるという特徴もあります。
ここで燃料代を自家消費でまかなうことができれば、利益率が大きく上がるということがわかるでしょう。
2つめは、農地の一時転用許可申請を出さなくて良いケースがあるということ。
ソーラーシェアリングの場合、農地に支柱を立てるため、支柱の設置部分については農地の一時転用をする必要があります。
この一時転用許可申請の手続きが面倒なため、ソーラーシェアリング普及を阻む一因となっているのが現状です。
しかし、ビニールハウスの場合、「ソーラーパネルを屋根に載せても大丈夫な構造のビニールハウスである(補強されている)」という条件を満たしていれば、農業委員会への申請が不要になります。
ソーラーパネルをビニールハウスの屋根に載せるときに特に補強をする必要が無ければ、支柱を立てる必要が無いため申請は不要ということです。
ソーラーパネルを載せても大丈夫な構造のビニールハウスは頑丈なので、台風などの災害にも強いというメリットもあります。
3つめは、地域の防災拠点として利用できることです。
近年、一般家庭においてもソーラーパネルといった発電設備だけでなく、発電した電気を貯めておける蓄電池を導入されるご家庭も増えてきました。
ソーラーシェアリングにおいても蓄電池を導入することで、昼間に発電した電気を貯めておき、発電ができない時間帯に使うことができます。
また、災害時など大規模な停電が発生しやすい場面においても非常用電源として利用でき、営農に影響を及ぼしにくいだけでなく、地域の防災拠点として活躍することも期待されています。
ビニールハウスでのソーラーシェアリング、実例もご紹介!
日本ではすでに、ビニールハウスでソーラーシェアリングを始めているところがあります。
実例をご紹介します。
実例①遮光率10%でもソーラーシェアリング併用で自家消費可能
作物に必要な日光の量を、遮光率ということばで表します。
ソーラーシェアリングではパネル下部に日陰ができてしまうため、遮光率が高い、つまり影ができる範囲が広いと、作物の生長に影響を与えることもあります。
千葉県市原市のSUNファーム市原では、ブルーベリーを育てるビニールハウス上部に設置したパネルの遮光率は10%に設定。
しかし、この遮光率だと発電量が自家消費をまかなうには十分ではないため、ビニールハウスの周りにある農地でもソーラーシェアリングを実施し、そこで発電した電力もビニールハウスの電力に利用しています。
これにより、遮光率が低い作物もソーラーシェアリングを行いながら育てることができ、光熱費を抑えることに成功。
利益率の高い作物づくりへとつながっています。
実例②両面発電で発電効率を重視
群馬県高崎市のファームドゥでは、ビニールハウス上部に設置するパネルを両面透過型モジュールにしています。
両面透過型モジュールの場合、日光が当たるパネル上部だけでなく、太陽光が地面に反射した反射光なども発電に使えるため、発電効率が非常に高くなるのが特徴です。
日光が反射しやすいよう地面には白いビニールシートを敷き、ビニールハウス内に日光が行きわたらせ、発電量も増やす工夫をしています。
また、ソーラーシェアリングによって栽培した作物を「ソーラー野菜」と銘打ち、付加価値をつけて販売もされています。
ソーラーシェアリングのメリットとは?
ソーラーシェアリングがビニールハウスで行えることが分かり、導入に意欲的になられている方もいらっしゃるかと存じます。
では、ソーラーシェアリングのメリットをおさらいしておきましょう。
- 安定した売電収入が長期間得られる
- パネルでほどよく日陰ができ、農作業がはかどる
- 一時転用しても地目が農地のままなので固定資産税が高くならない
- 発電所設置のための新たな土地を用意する必要が無い
- 相性が良い作物であれば収穫量増が期待できる
- 農地は日当たりが良い土地が多いので売電収入が期待できる
- 発電した電力を自家消費に使うことができる
- 災害時において非常用電源の役割を果たす
- 発電した電気はクリーンで空気を汚さない
企業等で農業法人として取り組むケースも多いかと思われます。
そのようなケースでは、積極的に環境問題に向き合っている姿勢が評価され、企業のCSR(社会的責任)向上の一助となるというメリットもあるでしょう。
今後、特にZ世代とよばれる若者は「環境に優しい」という視点を非常に重視しています。
消費者市場を意識した場合、このような世代の考え方を取りこぼすことのないよう十分気を付けていきたいところです。
ソーラーシェアリングはビニールハウスでこそ使うべき
ソーラーシェアリングはビニールハウスととても相性が良いです。
その理由としては3つあります。
1つめは、ビニールハウスにかかる光熱費を自家消費でまかなうことができること。
2つめは、ビニールハウスの構造によっては農地の一時転用許可申請が不要であること。
3つめは、非常時に地域の防災拠点として使えること。
日本では実際にビニールハウスでのソーラーシェアリングに成功している実例が見られ、遮光率が低く発電量が少なくても補う方法や、効率よく発電を行う工夫などをして成功している例があります。
ソーラーシェアリングにはメリットが多く、ビニールハウスでの発電のメリットとかけ合わせると大きな利点になります。
これからの農業では、環境に優しいという点も非常に重要な視点です。
ソーラーシェアリングを利用して栽培した作物を「ソーラー作物」として売り出しているところもあり、環境に優しいということは付加価値になり得ます。
アースコムでは福島の耕作放棄地を利用し、ソーラーシェアリングで太陽光発電投資を行った事例もあります。
日本の農業を担う新たな取り組みとしてメディアでもご紹介いただきました。
太陽光発電投資や環境事業投資にご興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。