2021.02.07

ソーラーシェアリングの遮光率とは?活用方法や作物の選び方

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こんにちは。株式会社アースコム 代表取締役の丸林です。

 

営農型太陽光発電とも呼ばれるソーラーシェアリングでは、太陽光発電と農業を同じ土地で同時に行うため「遮光率」が重要であると言われております。

 

この「遮光率」、実はソーラーシェアリングをするうえで重要なポイントになるのですが、そもそもどんなものかわからないという方もいらっしゃることかと存じます。

 

今回はソーラーシェアリングにおける遮光率について、その重要性や遮光率を活かした農作物選びについて解説します。

新鮮な野菜

 

 

ソーラーシェアリングにおける遮光率とは?

ソーラーシェアリングとは農作物を育てている農地に架台を立て、太陽光パネルを設置して、農業と太陽光発電を同時に行う方法のことです。

農作物には太陽光パネルによって影ができますが、パネルの角度や設置間隔、枚数を調節することによって、農作物に当たる日光の量を調節することができます。

 

この、農作物に当たる日光の量がどのくらい遮られるかを測る指標が、ソーラーシェアリングにおける「遮光率」です。

 

一般的にはカーテンの商品説明などにも使われる言葉で、「遮光率50%」であれば太陽光や蛍光灯の光を50%カットするというもの。

「遮光率80%」なら、より光をカットできるということで考え方は同じです。

 

農作物の中には、日光が当たり過ぎると生育状態が悪くなるものもあるため、太陽光パネルの影を利用することで、逆に良い生育環境を生み出すことができるのです。

 

ソーラーシェアリングの遮光率はどう出す?遮光率が大事な理由とは

遮光率(%)の算出方法は、太陽光パネルの合計面積÷架台を設置した農地面積×100です。

 

一般的には、遮光率30%程度を目安に設置することが多いようです。

 

遮光率が重要な理由は「遮光率に合った農作物を育てるため」です。

ソーラーシェアリングでは、農地の上に太陽光パネルを設置する関係上、絶対に日陰が発生してしまいます。

 

農作物を育てるためには日光が必要と思われがちですが、実際には太陽光がたくさん当たらないと育たない作物と、日光があまり当たらない方が良い作物があります。

 

ソーラーシェアリングを永続的に続けていくには「農地における単収(面積当たりの収穫量)が、同じ年の地域の平均的な単収と比較しておおむね8割程度あること」が条件となるため、ソーラーシェアリングに向いている作物選びも、大切なポイントになることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

 

農作物には日光が当たることで育ちやすさを示す「日照特性」というものがあります。

  • 陽性植物…1日当たり6時間以上の直射日光が必要で日陰では生育不可
  • 半陰性植物…1日当たり3~4時間の直射日光が必要でネット越しなどの日照が1日あれば生育可能
  • 陰性植物…直射日光が当たらない日陰か半日陰が好ましく、1日1~2時間の日照でも生育可能

 

ソーラーシェアリングに向いている植物は、半陰性植物と陰性植物です。

具体的な農作物名については後ほど、実際のソーラーシェアリング事例もあわせてご紹介させていただきます。

 

陽性植物には例えばスイカやきゅうり、メロン、トマトなどがありますが、これらの作物がソーラーシェアリングで育てられないわけではなく、遮光率が30%程度であれば陽性植物も育てられると言われています。

 

ただしソーラーシェアリングを行うには審査があり、陽性植物の場合は設置許可が下りないこともあるため申請先への確認が必要です。

また、遮光率が低いということは太陽光発電による発電量も落ちることになりますので、農業収入とのバランスを考えて設置する必要があります。

 

 

ソーラーシェアリングに適した遮光率の農作物は?

農家の人々

ソーラーシェアリングで向いているのは、半陰性植物と陰性植物です。

具体的にどのような農作物があるのかをご紹介します。

 

<半陰性植物>

イチゴ、ほうれん草、小松菜、かぶ、わさび、レタス、春菊、パセリ、じゃがいも、さといも、しょうが、アスパラガス、ねぎ

 

<陰性植物>

みつば、せり、クレソン、しそ、みょうが、ふき、にら

 

実際にソーラーシェアリングで育てられている作物の事例として、農林水産省が公表しているものには、じゃがいも、大豆、水稲、麦、ブルーベリー、牧草、榊(さかき)、高麗人参、シキミ、みょうが、しょうが、茶などがあります。

 

その他、全国のソーラーシェアリングで見られる農作物の例としては、米、大麦、小麦、大豆、キャベツ、レタス、さつまいも、じゃがいも、さといも、明日葉、小松菜、イチゴ、ブルーベリー、みかん、ニンニク、落花生、大根、人参、茶、梨、牧草などがあり、実に様々な農作物が育てられていることがわかります。

 

ただし、半陰性植物や陰性植物がソーラーシェアリングに向いているからといって、急にノウハウのない分野に参入してしまうと、農業での基盤が弱くなってしまうリスクがあります。

結果、ソーラーシェアリングの撤退を余儀なくされるケースもあるため、十分に検討が必要です。

あくまでもソーラーシェアリングのメインは農業であることを念頭に置いておいていただくと、失敗は防げるのではないでしょうか。

 

 

ソーラーシェアリングの遮光率は農作物の生育にかかわる

太陽光発電と農業を同じ土地で同時に行うソーラーシェアリングは、農作物の収穫量が安定したものでなければ設置許可が下りません。

 

一般的にソーラーシェアリングでは遮光率30%が目安にされていて、半陰性植物、陰性植物が向いています。

 

遮光率30%程度であれば陽性植物も育てられると言われていますが、そもそも審査の段階で陽性植物は却下されるケースもあるため、事前に確認が必要です。

現在ソーラーシェアリングで育てられている作物は多岐にわたり、あえて日を当てないことで味が良くなるものもあるようです。

 

ソーラーシェアリングでは農業がしっかり行われていることが重要です。

ソーラーシェアリングに向いている遮光率の農作物を選ぶことも大切ですが、その作物を育てるノウハウを持っているかどうかも成功のカギとなります。

 

弊社、福島の太陽光発電投資アースコムでは「ミライ型農業プロジェクト」と題し、ソーラーシェアリングを推進しています。

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