2023.12.08
FIP制度とは?わかりやすく内容を理解!FIT制度との違いも知ろう
いつも当コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社アースコム、取締役副社長の丸林です。
政府の発表により、2022年4月から再生可能エネルギーの電力買取にかかわる「FIT制度」に加え、新たに「FIP制度」の導入されることが決定しました。
今回はFIP制度について、制度の内容や導入の目的についてお話しするとともに、FIT制度との違いやFIP制度のメリット・デメリットについて解説します。
目次
FIP制度とは?その狙いや3つの種類をわかりやすく
FIP制度とは「Feed-in-Premium」の略称で、「フィップ」とも呼ばれます。
FIP制度は再生可能エネルギーの買取価格を決定する仕組みのことで、2022年4月から新たに導入されることになりました。
市場価格に付加価値(プレミアム単価)を上乗せし、両方を合わせたものを買取価格とします。
FIP制度の導入の理由は?
導入の理由は「電力市場の競争を活性化するため」です。
現在FIT制度により、国が決めた固定価格で10年ないし20年にわたって電力を買い取ってもらえます。
FIT制度の固定価格の原資となっているものは、電力料金で必ず一緒に徴収される「再エネ賦課金」です。
これは電気を使っている人がすべて負担しているもので、再生可能エネルギーが普及するのに伴い、その金額も年々上がっており、国民の大きな負担によりFIT制度が成り立っています。
元々、FIT制度は再生可能エネルギー普及のためにつくられたものです。
そのため、発電事業者優遇の制度と言わざるを得ません。
市場価格というものには波があり、価格が上下するのが当たり前なのに、それを一定にしてしまっているため市場競争が起こりにくくなっています。
正しい競争を促し、消費者である国民の負担を減らしていくことがFIP制度が導入される目的です。
FIP制度におけるプレミアム単価も再エネ賦課金が原資となりますが、FIT制度よりも国民の負担は軽くなると予想されています。
FIP制度には種類がある
海外ではすでにいくつかの国がFIP制度を導入しており、海外で導入されているFIP制度は以下の3種類です。
- プレミアム「固定型」FIP
- プレミアム「固定型」FIP(上限・下限つき)
- プレミアム「変動型」FIP
1つずつ説明します。
プレミアム「固定型」FIP
市場価格に関係なく、常に固定金額のプレミアム単価(補助額)を上乗せする方法です。
メリットとして、プレミアム分の収入が計算しやすいこと、再エネ賦課金が一定で国民の負担が軽くなることが挙げられます。
デメリットは、市場価格の増減の幅が大きくなり、売電収入予測が立てにくくなることです。
プレミアム「固定型」(上限・下限つき)
市場価格とプレミアム単価の合計に、上限・下限を設定する方法です。
メリットとして、合計額が下限を下回ったときには、下限額との差額を補填するプレミアム単価が受け取れることと、売電収入の上限・下限額がわかるので売電収入予測を立てやすいことが挙げられます。
デメリットは、合計額が上限額を超えた分のプレミアム単価はもらえないことです。
また、上限値・下限値の適正な設定が難しいという面もあります。
プレミアム「変動型」FIP
プレミアム単価が変動し、市場価格とプレミアム単価の合計金額が常に一定になるように設定する方法。
現行のFIT制度による固定価格買取とほぼ同じです。
メリットは、売電収入が安定すること、収益予測が立てやすいので発電事業者が参入しやすいこと。
デメリットは、市場価格が下がった場合にプレミアム単価の割合が増えてしまい、再エネ賦課金の額が上がる可能性があることです。
日本のFIP制度はどうなる?
日本では、プレミアム「固定型」FIPとプレミアム「変動型」FIPの折衷案になると予想されています。
プレミアム単価は、市場価格の水準にあわせて一定の頻度で更新した金額であるものの単価が一定。
売電収入は市場価格に連動した動きになり、市場価格が高くなる電力需要ピーク時には蓄電池の活用などで供給量を増やすインセンティブが可能です。
FIP制度とFIT制度の違いもチェック!
FIP制度とFIT制度の違いを知ることで、なぜ政府がFIP制度に移行しようと考えているかがわかります。
FIT制度とは「固定価格買取制度」のことで、始めに決めた固定価格で太陽光発電では10kW未満の場合は10年間、10kW以上は20年間、ずっと同じ価格で電力を買い取ってもらえます。
固定価格の原資は国民から集めた再エネ賦課金であり、再生可能エネルギーが普及するに従って再エネ賦課金も上がり、国民の負担が大きくなっていることが問題になっています。
また、価格が固定であるために正しい市場競争が行われず、発電事業者の自立性を損ない、こちらも国民の不利益になっていることが指摘されています。
FIT制度の仕組みや問題点については、こちらでも詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
FIP制度とFIT制度の大きな違いは「市場価格との連動」です。
電気も食品などと同じく、本来ならば需要と供給のバランスで、みんなが必要だけど電気の供給が少ない夜間は電力の価格は上がるはずですし、逆に昼間は電力の価格は下がるはずです。
FIP制度が導入されることで、発電事業者は蓄電池などを活用することで価値が高い時間に電気を売り、収益を上げるといった工夫をすることができます。
FIP制度により電力市場が活性化され、国民負担が減ることが期待されています。
FIP制度のメリットデメリットと今後の注目ポイント
FIP制度のメリットは、発電事業者の工夫次第で高い収益を狙えるということです。
また、発電事業者の競争が起こることにより電力市場が活性化し、消費者にとっても安い電力を選ぶことが可能になることが期待できます。
デメリットは、発電事業者は収益の見込みが立ちにくくなることです。
今後、発電事業者にとっては蓄電池の活用や、発電効率アップの取り組みなど、市場を意識した事業を営むことが求められます。
日本の電力供給における再生可能エネルギーが占める割合は世界の中では少なく、いかに再生可能エネルギーを増やしていくかが課題となっています。
FIP制度導入により、再生可能エネルギーへの参入がさらに進むことが期待されています。
FIP制度とは、わかりやすく言うと市場価格に連動した価格にすること
FIP制度とは、再生可能エネルギーの買取価格を決定する仕組みのことで、市場価格に付加価値(プレミアム単価)を付け、両方を合わせたものが買取価格になります。
FIT制度の問題点であった「再エネ賦課金の国民負担が増大していること」を解消し、電力事業者の正しい競争を促すことができると期待されています。
海外ではすでにいくつかの国がFIP制度を取り入れており、日本もそれに倣う形で導入が予定されています。
FIP制度では、収益の予測が立ちにくいといったデメリットがあるものの、市場価格が高いときにたくさんの電力を売る工夫をすれば、高い収益を上げることができるというメリットも。
電力市場の競争が活性化することで、消費者にとってもメリットが大きいと考えられ、今後はさらに再生可能エネルギーの普及が進むことが期待されています。
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