2023.12.04
航空機リースは節税になる!仕組みや条件、リスクは?
いつも当コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社アースコム、取締役副社長の丸林です。
法人の節税対策として効果の高い「航空機リース」をご存知でしょうか?
航空機リースは、多額の資金を投入して損金を大きく計上できるにも関わらず、リース期間終了後には投資額と同等か、それ以上の利益を出せるローリスクな節税対策として人気があります。
ただし投資商品なので、もちろんリスクやデメリットもあります。
航空機リースについて正しく理解し、節税対策を始めましょう!
目次
航空機リースの仕組みや節税対策とは?
航空機リースの構造は「出資者」「匿名会社」「リース会社」「航空会社」「金融機関」の5者で構成されます。
匿名組合はいわゆるファンドと呼ばれるもので、複数の出資者から資金を集めます。
出資者からの資金だけでは不足がある場合、匿名組合が金融機関に借り入れを行い、集めた資金で航空機を購入します。
航空機を所有するのは匿名組合で、航空機は匿名組合の償却資産です。
毎年減価償却を行い、経費を計上します。
航空機を航空会社へ貸し出すリース契約を結び、定額でリース料を得て、匿名組合は収益を投資額に応じて出資者へ分配します。
このとき、減価償却も出資額に応じて分配されます。
リース期間終了後は航空会社に航空機を買い取ってもらうか、中古市場に売却をして売却利益を出資者に分配するという流れです。
航空機リースは初年度に大きな損失を計上して節税できる
匿名組合は毎年、減価償却を行いますが、リース開始初年度から数年はリース料よりも減価償却費が多くなります。
つまり、一時的に大きな赤字を出している状態です。
特にリース開始初年度は出資額の5~7割、多ければ8割が減価償却費となり、大きな損失を計上できます。
減価償却による匿名組合の損失は出資者にも反映され、出資額の割合に応じて損失を計上することになります。
出資者は損失として計上できるので、本業の利益圧縮が可能に。
経費計上の時期は匿名組合の計算期間の末日なので、その末日が会社の決算期より前の匿名組合に出資すれば、決算期末直前でも節税対策を講じることができます。
突発的に多大な利益が出てしまったときや事業承継対策、相続対策としても利用でき、大きな節税となるのです。
航空機リースで節税を行うための条件もある
航空機リースで節税対策を行うためには、満たしておくべき条件もあります。
航空機リースを行うと高い節税効果が得られる条件は、以下のようなものになります。
- 個人投資家ではなく法人であること
- キャッシュで余裕資金が1億円以上ある
- 突発的に大きな利益が出て、経常利益が3,000万円以上である
- 事業承継による自社株対策、相続税対策が必要な法人
- ファイナンスリースではなくオペレーティングリースを選択
まず最も大切な条件が「法人であること」です。
いくら多額の資産を所有していても、個人投資家は「雑所得」扱いになってしまいます。
他の所得との損益通算ができず、節税にはつながりません。
出資金は数千万になり、基本的に中途解約も不可能なことから、下手に手を出すと出資のために本業を圧迫しかねません。
余裕資金を1億円以上もつ体力のある法人のみが、できる投資です。
航空機リースは減価償却を行うことで節税につながるものですが、減価償却の計算には「定額法」と「定率法」があります。
オペレーティングリースは残存価格を一定割合で減価償却する「定率法」、ファイナンスリースは毎年一定額を減価償却する「定額法」。
航空機リースで節税につながる仕組みは「リース初年度から数年間」に大きな損失を計上することです。
定額法で一定額を減価償却していくと節税効果はなくなってしまうため、必ずオペレーティングリースを選択してください。
節税が期待できる航空機リース、リスクや注意点は?
大きく損金を計上できることで節税効果が期待できる航空機リース。
投入した資金が大きく損失を出す可能性が低い投資ですが、リスクもいくつか存在します。
リスク発生の可能性はかなり低いと思われますが、航空機リースをご検討中の方は頭に入れておきたい内容です。
航空機リースで考えられるリスク面と、注意点についても見ていきましょう。
航空機リースのリスク
まずは航空機リースで考えられるリスクをご紹介します。
リース先やリース会社の倒産
リース先の航空会社が倒産してしまうと、リース資金の回収が出来なくなってしまいます。
対応としては後継となるリース先を探すか、リース資産を売却することになりますが、当初の予定通りの分配金は得られない可能性があります。
リース会社が倒産してしまった場合は、他のリース会社が運営を代行するなどの対応をとり、投資家への影響は小さくなるような仕組みになっています。
そのため、大きな損失を被ることは無いと考えられますが、出資金を追加徴収されることがあります。
資産価値の低下
外貨建ての場合は、円高によって資産価値が下がるリスクがあります。
リース資産のほとんどは海外製のため、ドルでの買い付けを行います。
そのため購入時よりも円高になっていると、資産が目減りする結果となります。
また、世界情勢の変化でリース資産の価値が下落してしまう可能性もあります。
航空機の墜落
航空機が墜落して使用不可能な状態になった場合、航空会社の保険が下りて航空機の価格は保障されるため、損失が出ることはありません。
ただしリース期間が予定よりも早く終了してしまうため、益金が早期に発生してしまいます。
会社の事業計画をリース終了に合わせている場合などは、計画の修正が必要になります。
中途解約が不可能
オペレーティングリースは、基本的にリース期間が終わるまで中途解約ができません。
中途解約できても損失が出てしまうため、航空機リースを始めるには、あくまでも節税対策に使える余剰資金がある場合のみと考えたほうが良いでしょう。
航空機リースの注意点
航空機リースはリース期間が終わって航空機が売却されると、匿名組合から投資家に分配金が支払われ、利益が一気に上がります。
これは本来は該当事業年度に支払うべき税金を、出資額相当の損失を先取りして、利益を繰り越しているためです。
そのためリース終了後は何らかの対策を講じないと高い法人税を支払うことになり、せっかくの節税効果が得られません。
経営者の退職金を支払うなど、将来の多額の費用発生時にリース終了のタイミングを合わせると、利益との相殺ができます。
航空機リースは高い節税対策があるが条件もある
航空機リースはリース開始初年度から数年間で大きな損益を出すことで、本業の利益を圧縮でき、法人税の節税につながる仕組みです。
節税対策として効果が高いものの、多額の資金を投入するため余裕資金が潤沢にある法人でなければ難しいという面もあります。
リスクは低いですが少なからずあるので、会社の経営計画と照らし合わせながら利用されると良いでしょう。
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