2023.12.04
太陽光の固定資産税、野立ての場合は?計算方法やその他の税金も
いつも当コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社アースコム、取締役副社長の丸林です。
太陽光発電では、固定資産税がかかるものがあります。
特に野立てで太陽光発電を運営されている場合、規模も大きいので税金が気になるところですね。
野立ての太陽光の場合はどれくらい固定資産税がかかるのか、あわせて税額の目安や固定資産税以外にかかる税金についても解説します。
目次
太陽光発電でかかる固定資産税、野立ての場合や課税対象は?
太陽光発電には固定資産税がかかるものと、かからないものがあります。
以下が、固定資産税がかかる条件です。
- 10kW以上の太陽光発電
- 野立て、屋根一体型のソーラーパネルなど、移動が容易でないもの
- 事業目的で設置した10kW未満の太陽光発電
容量が10kW以上であれば、個人所有・法人所有に関わらず課税対象となります。
たとえ全て自家消費に回るとしても、10kWを超える場合は対象です。
「固定資産」なので、家や土地へ固定されていて簡単に動かせないものが課税対象となり、屋根に架台を付けてパネルを載せる場合は取り外しが可能なため、非課税となるケースが多いようです。
10kW未満でも課税対象となるのは、自宅兼作業場や個人所有の賃貸物件の屋根(屋上)に取り付けた場合です。
個人事業主でも事業に利用する資産は償却資産となるため、固定資産税がかかります。
事業目的として分類されるかは判断が難しいところなので、税理士に相談するのが確実でしょう。
野立ての太陽光発電は土地にも固定資産税がかかる
野立ての太陽光発電の場合、土地を購入すると、土地にも固定資産税がかかります。
また、購入時には一度だけ不動産取得税も課税されます。
土地を借りている場合は、土地の所有者が納税者です。
土地は地目によって税額が変わり、「田」や「畑」となっている土地に野立ての太陽光発電を設置する場合は農地転用をする必要があり、固定資産税額も高くなります。
小規模宅地の特例により、土地の上に居住用の住居が建っている場合は固定資産税が軽減されますが、野立ての太陽光発電は住居ではないため固定資産税の軽減はありません。
評価額が150万円を下回ると固定資産税は非課税になる
評価額(課税標準額)の合計が150万円を下回ると非課税となります。
太陽光発電設備は、経年により価値が減る「償却資産」です。
1年ごとに、耐用年数から費用を計上する減価償却を行います。
評価額の計算方法については次で詳しく解説しますが、償却資産の評価額は購入した初年度が最も高く毎年少しずつ下がっていき、評価額が150万円以下になると納税義務がなくなります。
太陽光発電の固定資産税の目安を知るために計算方法を知ろう
固定資産税は「太陽光発電設備」と「土地」にかかり、それぞれ計算方法が異なります。
太陽光発電設備にかかる固定資産税の計算方法
太陽光発電設備は経年により価値が減る償却資産なので、固定資産税の計算には価値が減っていく割合を示す「減価率」が重要になります。
減価率は法定耐用年数に応じて決まります。
以下が、太陽光発電設備の固定資産税額の計算に必要な数値です。
- 法定耐用年数…17年
- 減価率…0.127(1年目は0.064)
- 固定資産税の税率…1.4%
太陽光発電設備の評価額は1年目は取得金額×(1-0.064)、2年目から17年目までは前年度評価額×(1-0.127)となり、固定資産税は評価額×1.4で求められます。
では実際に、太陽光発電設備を400万円で購入した場合を例にして、固定資産税額を計算してみましょう。
評価額は、400万円×(1-0.064)=374万4,000円
1年目の固定資産税額は374万4,000円×1.4%=5万2,416円となります。
2年目の評価額は374万4,000円×(1-0.127)=326万8,512円となり、
固定資産税額は326万8,512円×1.4%=約4万5,759円です。
前年度評価額に減価率をかけていくので、毎年固定資産税額は少なくなっていきます。
評価額が150万円以下になると非課税になります。
太陽光発電設備を設置する土地の固定資産税の計算方法
土地の場合、経年によって価値が減ることはありません。
課税評価基準に固定資産税率の1.4%をかけて計算をします。
課税評価基準は実際の購入価格ではなく、地方自治体によって定められているものです。
土地の課税評価基準が1,000万円であれば、1,000万円×1.4%=14万円が1年間の固定資産税額です。
都市計画税がかかる場所の場合は税率を0.3%として、1,000万円×0.3%=3万円となり、14万円と合わせて計17万円になります。
野立ての太陽光発電で固定資産税の他にかかる税金
野立ての太陽光発電には、固定資産税の他に所得税または法人税・住民税がかかります。
売電収入にかかる税金は、個人の場合は所得税、法人の場合は法人税です。
野立て太陽光発電の所得税
野立ての場合は売電収入を得るための事業と捉えられることから、個人の場合でも事業所得とみなされます。
諸経費を引いた所得額が課税対象となりますが、基礎控除が38万円あるので、所得額が38万円以下であれば申告の必要はありません。
所得税は累進課税が取られているため、所得が増えれば増えるほど税率も高くなります。
195万円以下の場合は税率は5%ですが、4,000万円を超えると上限の45%の税率がかかります。
さらに詳しい税率については、国税庁のホームページ「No.2260 所得税の税率|所得税」でご確認ください。
野立て太陽光発電の法人税
法人では売電収入は事業所得となり、法人税の課税対象です。
所得金額が800万円以下の場合は税率は19%(2018年4月1日から2019年3月31日までの間に開始する事業年度のみ税率15%が適用されます)、800万円を超える場合の税率は23.2%です。
法人税の税率は23.2%が上限です。
野立て太陽光発電の住民税
野立て太陽光発電は所得に応じて、個人も法人も住民税を払う必要があります。
個人は「個人住民税」、法人は「法人住民税」と呼ばれます。
住民税は前年度の所得または事業所得を元に決定されます。
個人住民税と法人住民税では計算方法が異なります。
- 個人住民税…道府県民税(東京都は都民税)+市町村民税(東京23区は特別区民税)
- 法人住民税…法人税割+均等割
住民税の計算は複雑なので、税理士に相談されるか、ネット上で見つけられる住民税計算シミュレーションを使われるといいでしょう。
野立て太陽光発電は固定資産税のほか法人税や住民税もかかる
太陽光発電は容量が10kW以上のもの、または10kW未満でも事業所得とみなされるものには固定資産税がかかります。
野立て太陽光発電の場合、売電収入を得ることを目的としているため、必然的に事業所得となります。
野立て太陽光発電にかかる固定資産税は、発電設備と土地の2種類。
発電設備は経年によって価値が下がる償却資産で、毎年固定資産税は下がります。
評価額が150万円以下になると非課税です。
一方、土地は経年に左右されず、土地を持ち続ける限り支払うことになります。
固定資産税のほか、売電収入があれば所得税や法人税、住民税もかかります。
ただし太陽光発電投資は上手く活用すれば、全体の節税にもなります。
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