2023.12.04
太陽光発電の設備認定が遅れる原因は?事業計画認定の流れも解説!
いつも当コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社アースコム、取締役副社長の丸林です。
太陽光発電で発電を始めるためには固定価格買取制度の申請が必要ですが、以前から申請から認定までに時間がかかることがネックになっており、現在はさらに時間を要するようになってきています。
なんでそんなに時間がかかるのだろう?と思っている方のために、太陽光発電の設備認定が遅れる原因や、太陽光発電の契約から発電開始までの流れについてお話していきます。
目次
太陽光発電の設備認定審査が遅れる原因とは?
太陽光発電はFIT法により「設備認定」を受ける必要がありました。
そして、2024年現在は「事業計画認定」と名前と内容が変わっています。
当初より申請から認定まで1~2ヶ月と時間がかかることが問題になっていましたが、事業計画認定になってから、さらに時間がかかるようになり3~6ヶ月かかることもあります。
なぜ、ここまで時間がかかるのか、考えられる原因をいくつか挙げていきます。
手続きが複雑になった
設備認定から事業計画認定へと変更になったことで、手続きが複雑化したことが原因の一つです。
簡単に違いをまとめますと、以下のようになります。
- 設備認定…太陽光発電システムの「設備の安全性」を主にチェックする
- 事業計画認定…「発電開始時期」「発電量予想」「長期にわたって運転ができるのか」「20年後のシステムはどうするのか」など、太陽光発電を使ってどのような事業を展開するのかをチェックする
設備認定は太陽光発電の設備が基準を満たしていればOKでしたが、そのような認定をしていた結果、採算がとれないような土地への設置申請などが相次ぐようになりました。
また、買取価格が高い時期に認定を受けたのに発電を開始しないという事業者もおり、国が想定していた電力供給量が実態に見合っていないという問題が起きてしまいました。
そのため「事業計画認定」と名称と内容を変更し、長期にわたって採算の取れる事業計画を行えるのか、20年後の固定価格買取期間が終了したときに発電システムを放置や放棄しないのかなどをチェックすることになりました。
申請内容が増えたため提出する書類も複雑化し、申請に時間がかかるようになってしまったと考えられます。
資源エネルギー庁と電力会社への同時申請ができなくなった
認定を受けるためには「電力会社」と「資源エネルギー庁」の2つに手続きを受ける必要があります。
電力会社とは「電力を買い取ってもらう契約」をし、資源エネルギー庁には「売電単価を決定する」手続きをします。
これはFIT法改正前から同じです。
何が変わったのかというと、2017年の改正FIT法前までは、電力会社と資源エネルギー庁との手続きは同時に進めることができました。
改正FIT法では資源エネルギー庁へ申請を出す際に、電力会社との「接続同意書類」を一緒に添付することが求められるようになったため、手続きを同時に行うことができなくなりました。
電力会社との「接続同意書類」は改正前も提出の必要がありましたが、後から提出しても問題ありませんでした。
ところが、太陽光発電など再生可能エネルギーの供給量が急増したため、天候に左右されやすい自然エネルギーに発電の荷重がかかり過ぎないよう、接続許可が下りにくくなってしまいました。
そのため「きちんと電力会社と契約した方のみ申請を進めてください」ということになったのです。
認定までの目安期間が1ヶ月延長された
FIT法が改正されるまでは申請から認定までは1~2ヶ月が目安とされていました。
FIT法改正後は、これが3ヶ月に延長されています。
前述した手続きの複雑化などで時間がかかっていることが要因で、申請期間を実態に即した形に変更したということです。
目安としては3ヶ月ですが、遅いと半年近くかかることもあるので、手続きは早めに始めたほうが良いでしょう。
「みなし認定」に時間がかかった
2017年4月1日にFIT法は改正されましたが、改正前の2017年3月31日までに旧FIT法の設備認定を取得し、2016年8月1日以降に電力会社と接続契約を締結している事業者に対しても、あらためて事業計画書を2017年9月30日までに提出する義務(みなし認定)が求められました。
みなし認定は予め設けられていた締め切り期限が急遽3ヶ月延長されており、予想外に処理に時間がかかってしまったことが伺えます。
この認定がずれ込んだことにより、さらに申請に時間がかかっていると考えられます。
2017年度の申請のツケがたまっている
経済産業省によると、FIT法改正年度である2017年度の太陽光発電の申請件数は申請期限時には、前年度の2016年度の1.7倍に増加し、申請期限2週間前には前年同時期比で1.4倍になっていたと発表されました。
太陽光発電以外の電力も申請の手続きは行うため、実際の数としてはさらに多かったと予想されます。
このため国は申請期限に間に合わないと判断し、申請期限を超えて2018年度になって認定を受けた場合も、2017年度の価格で買い取ることを決定しています。
こうして申請が徐々にずれ込んだ結果、現在も遅れを取り戻せないまま申請に時間がかかっていると考えられます。
太陽光発電の契約から発電開始までの流れ
太陽光発電の手続きには時間がかかります。
太陽光発電の申請の手続きの流れを大まかにおさえて、できるだけスムーズに申請が行えるようにしてくださいね。
太陽光発電を始めるためには、次のことを順に行う必要があります。
- 電力会社との契約
- 資源エネルギー庁から事業計画認定を受ける
まず①電力会社との契約をします。
おおまかな流れとしては、接続申し込みと接続契約をし、負担金が確定したのち、特定契約(買取契約)となります。
これが済んだら②の資源エネルギー庁への手続きに入ります。
②では、事業計画認定申請を行います。
必要書類には電力会社との接続同意書類も添付し、認定が取得できれば、晴れて売電単価が決定という流れになります。
手続きに必要な書類については「太陽光発電の申請に必要な書類は?固定価格買取制度の申請の流れも!」で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧くださいね。
太陽光発電の事業計画認定は設備認定のときから遅れぎみ!早めの手続きを
太陽光発電の事業計画認定は2017年の改正FIT法によって、設備認定が名称と内容も変更した形で定められました。
旧FIT法では、太陽光発電の設備が安全に運転できるかなど設備についてのチェックでした。
それが事業計画認定では、設備の安全性はもちろん、長期間にわたって運転可能か、売電量は確保できるかなど、国のエネルギー源の一端を担うために必要な条件を満たしているかを問われることになりました。
そのため設備認定のときから1~2ヶ月かかっていた申請は、審査が複雑化したことや電力会社との契約が同時進行できなくなったことなどから、さらに伸びる結果に。
また、太陽光発電の需要が高まったこともあり、申請数が増えていることも原因になっています。
国でも審査機関の人数を増やすなど体制の見直しは行っていますが、ある程度の時間がかかることは避けられないようです。
申請者は、申請は早めに行ったり、書類の不備が無いかチェックをしたりすることで、認定がスムーズに進むように心がけたいですね。
福島で太陽光発電投資をご検討中の皆様は、ぜひアースコムにご相談ください。
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