2021.03.15
ソーラーシェアリングでの台風被害は?架台への対策で被害を最小に
株式会社アースコム 代表取締役の丸林です。
農業にとって災害対策は切っても切り離せない存在ですが、ソーラーシェアリングにおいても同じです。
特に気をつけたいのが、毎年必ず訪れる台風です。
以前は九州など日本の南に大きな影響を与えることの多かった台風ですが、近年は関東以北においても甚大な被害を及ぼすことも珍しくありません。
今回は、ソーラーシェアリングにおける台風被害の実情をご紹介するとともに、台風対策に有効であると考えられる架台の対策について解説いたします。
目次
台風によるソーラーシェアリングの被害例を参考に
まずは、台風によってソーラーシェアリングでどのような被害があったのか、実例をご紹介します。
太陽光発電設備の被害は大きく分けて「架台が崩れる」「パネルの飛散」の2つです。
架台が崩れた事例では、架台が横倒しになってしまったものや、架台がねじれるように曲がってしまったものなどが見られました。
パネルの飛散の事例では、パネルの裏側から風を受けて吹き飛ばされてしまったものだけでなく、架台が壊れたことでパネルが外れてしまったなど、架台が原因で起こってしまった被害事例も報告されています。
倒壊した架台は、ソーラーシェアリング導入開始直後に設置された設備だけでなく、新しい設備にも被害が見られました。
そのため、老朽化が架台倒壊の原因になったとは現時点では考えにくいでしょう。
架台の倒壊につながった原因としては、以下のような例があります。
- 地盤の緩みによる設備の沈下(水田地帯)
- 支柱と架台をつなぐフランジの強度不足
ソーラーシェアリングでは農地の上にソーラーパネルを設置するため、特に水田地帯のような場所では地盤は元々緩いのが当然です。
また、ソーラーシェアリングの設置条件として「発電設備は簡易な構造で容易に撤去できる支柱であること」があります。
ソーラーシェアリングでは、農作物を育てるのが主たる目的でもあるため、地面にコンクリートを入れて固めるという施工ができません。
よって、ソーラーシェアリングは台風ではどうしても架台にダメージを受けやすい傾向にあります。
しかしながら、甚大な影響を及ぼした台風の中でも無傷で済んでいるソーラーシェアリングの発電所がいくつもあります。
架台の設計の工夫や適切な強風対策を取ることによって、被害を縮小できる可能性があるといえるでしょう。
ソーラーシェアリングの台風対策として架台の補強が大事!
台風において、ソーラーシェアリングで影響を受けやすいのが架台です。
そのため、台風対策として重要なのは架台の補強といえるでしょう。
考え得る4つの架台の補強方法をご紹介します。
①架台とパネルを固定する箇所を増やす
架台とパネルを固定する箇所は、多くの発電所で4点止めです。
これを6点止めにするだけでも、パネルの飛散のリスクを抑えることができます。
②杭基礎を深くする
杭基礎を3m以上深く埋め込むなど、通常よりも深くすることで耐風力が増します。
特に地盤が緩い水田などでは有効な方法です。
杭長最大約7.3mまで打ち込める、油圧式インパクトハンマー杭打機「GRT」といった機械も登場しています。
土地や用途に合わせて支柱杭の設置をすることで台風に強い発電所になります。
③支柱と梁の配置と間隔を工夫する
支柱の間隔を通常よりも狭くし、梁を2本にして筋違いに配置して補強します。
支柱の高さを4mと通常よりもやや高くすることで、パネル下からの風が抜けやすくなります。
農作業に使用する機械の操作性との兼ね合いもあるため、支柱の間隔には注意が必要ですが、支柱の高さを出したことで作業効率が上がったという事例も報告されています。
④太陽光発電架台メーカーの架台補強工事を利用する
太陽光発電架台メーカーの中には、既設の架台補強工事サービスを開始しているところがあります。
書類上ではありますが、架台設計図や強度計算書などの簡易計算や脆弱性の診断なども行った上で、現在のJIS規格の強度レベルまで引き上げてくれます。
以上の架台補強対策に加え、普段からメンテナンスで設備のネジに緩みが無いかなどをチェックしておくことも大切です。
また、設備ごとに風速計を設置しておくことで、被害にあった場合に架台そのものが原因なのか、局所的に強風を受けてしまったことが原因なのかが判断しやすくなり、その後の対策にも活かすことができます。
ソーラーシェアリングの台風対策の要は「架台の補強」にある
ソーラーシェアリングでは支柱を軟弱な地盤に設置することが多いため、台風では特に架台が被害を受けやすい傾向にあります。
架台が被害を受けることでパネルが飛散してしまう例もあるため、台風対策では架台の補強が重要です。
架台の補強として考えられる対策は「架台とパネルを固定する箇所を増やす」「杭基礎を深くする」「支柱と梁の配置と間隔を工夫する」「太陽光発電架台メーカーの架台補強工事を利用する」の4つ。
加えて、普段から架台やパネルのネジの緩みがないかなど、メンテナンスや点検で早期に発見・対応できる環境を整えておくことも大切です。
アースコムでは福島をはじめとしたさまざまな太陽光発電投資物件を扱うとともに、未来の農業を支えるソーラーシェアリングにも力を入れています。