2021.03.24

ソーラーシェアリングで耕作放棄地を再活用!仕組みや事例も解説

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株式会社アースコム 代表取締役の丸林です。

 

日本で問題になっている「耕作放棄地」。

採算の問題や後継者問題などで、現状に歯痒い思いを抱えていらっしゃる方も多いかと存じます。

 

そんな耕作放棄地の再活用が期待できる新たな手段として、近年注目されているのが「ソーラーシェアリング」です。

 

今回は耕作放棄地の現状について知るとともに、ソーラーシェアリングの導入によって耕作放棄地へどのような影響を与えるかについて、耕作放棄地でソーラーシェアリングを行った実例を交えてご紹介いたします。

曇り空の草原

 

 

耕作放棄地の現状とは?

日本の耕作放棄地は「増え続けている」のが現状です。

 

現在、日本の耕作放棄地の面積は滋賀県の面積に匹敵する40万haを超え、その約半数が土地持ち非農家の所有地です。

 

土地持ち非農家とは、農家以外で耕地及び耕作放棄地を5a以上所有している世帯のことを指し、なかには「農地を宅地等に転用する際の利益への期待」などから、農業はせず資産として手元に置いておくだけになっている土地も多くあると言われています。

 

近年では販売農家の耕作放棄地は減少しているものの、土地持ち非農家や販売はせず自給自足に足る分だけの作物を育てる自給的農家の、耕作放棄地面積が増加しています。

 

他にも、耕作放棄地増加の背景としては以下のような問題が挙げられています。

  • 農業従事者の高齢化
  • 後継者不足
  • 収益が見込める作物がない
  • 農作物価格の低迷
  • 土壌が農業に向いていない
  • 自然災害の発生

 

さまざまな事情から「農業を続けたくても難しく、農地を活用できていない」といった実情が伺えます。

 

耕作放棄地が放置され続けると、農業を行うのが困難な状態になる「荒廃農地」へと発展する恐れがあります。

荒廃農地は⿃獣被害や害虫被害を引き起こし、景観も悪くするなど、周辺の農地に悪影響を及ぼすことが指摘されています。

 

日本の農業の衰退を防止し、安心・安全な農作物を守るためにも、耕作放棄地の解消は国を挙げて取り組むべき課題と言えるでしょう。

 

耕作放棄地の問題を解決するソーラーシェアリングとは?

ソーラーシェアリングは農地に太陽光発電設備を備え、農業と太陽光発電を並行して行うことを言います。

 

作物を育てている農地に2m以上の支柱を立て、太陽光発電設備を設置します。

これまでも耕作放棄地を利用した太陽光発電は行われてきましたが、耕作放棄地を農地転用して太陽光発電のみを行うという方法でした。

 

そのため、せっかくの農地を農業のために生かすことができず、農業にとっては完全なるプラスとは言い難い状況だったのです。

 

ソーラーシェアリングは耕作放棄地を農地として蘇らせ、さらに太陽光発電で売電収入を得ることもできる画期的な方法と言えるでしょう。

 

ソーラーシェアリングを始めるメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • 農業収入にプラスアルファの収入ができる
  • 発電した電気を農業経営に使うことができる
  • 農地転用ができなかった土地でも、一時転用許可をして太陽光発電設備が設置できる
  • 新たに土地を取得せずに太陽光発電が行える
  • 地目は農地のままなので固定資産税が抑えられる

 

すでに日本のあちこちでソーラーシェアリングが始められており、耕作放棄地の解消に役立っているとのデータも出ています。

 

ソーラーシェアリングの手続き方法や農地の一時転用許可については、下記のコラムをご覧ください。

ソーラーシェアリングのメリットとは?手続き方法や費用を解説

ソーラーシェアリングの設置条件は?一時転用許可期間の延長条件も

 

 

ソーラーシェアリングで耕作放棄地を再活用した事例

ガッツポーツをするビジネスマン

ソーラーシェアリングで耕作放棄地を再活用した事例をご紹介します。

 

きくらげ栽培

宮城県のある耕作放棄地は、土壌が農地に向いていない状態でした。

また、宮城県の日照量は全国よりもやや少なく、太陽光発電を単体で行うと売電収入が多く得られないことが課題となっていました。

そこで、土に直接植え付ける必要が無く、土壌の良し悪しは関係のない「きくらげ」を栽培するという方法をとることにしました。

 

きくらげは少ない日照量で育ち、国産は少ないため希少価値も高いこともあり、見事に発電量不足もカバーできたというわけです。

 

榊栽培

福島をはじめとする太陽光発電投資物件を扱うアースコムでは、福島県の耕作放棄地を利用した榊栽培のソーラーシェアリングに取り組んでいます。

 

神事でよく使われる榊(さかき)は、実はそのほとんどが中国などの海外からの輸入品ですが、縁起物であることや鮮度が良いことなどから国産品の需要は高いのです。

 

榊は山林の中で自生することもある作物で、日陰を好む特性があります。

また、日が当たり過ぎると葉の色が悪くなることから、ソーラーシェアリングとの相性が良く、榊栽培で成功している例は多くあります。

 

アースコムではソーラーシェアリングでの榊栽培で、榊の国内シェア奪還と福島県の農業復興を目指しています。

 

 

ソーラーシェアリングは耕作放棄地問題の解消の鍵になる

日本の耕作放棄地は年々増加しているのが実状です。

原因は、農業従事者の高齢化や後継者不足、農作物の価格の低下などが挙げられます。

 

耕作放棄地の解消の一手と考えられているのがソーラーシェアリングです。

新たに土地を用意する必要もなく、不安定な農業収入を売電収入でカバーでき、日本の農家が抱える問題の解消に役立つと考えられています。

 

すでにソーラーシェアリングが耕作放棄地の解消に役立っていることも実証済みです。

 

耕作放棄地を利用したソーラーシェアリングも行われており、農作物栽培と販売によって太陽光発電の発電量を補うケースも見られるなど、新しい形での農業の発展が期待できるでしょう。

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