2023.12.07

ソーラーシェアリングの設置条件は?一時転用許可期間の延長条件も

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株式会社アースコム 代表取締役の丸林です。

 

太陽光発電投資において、近年注目を集めているものに「ソーラーシェアリング」があります。

農業と太陽光発電を両立させるソーラーシェアリングは、日本の農業とエネルギー問題に切り込める新しい発電所の在り方となるでしょう。

 

そんなソーラーシェアリングには設置の条件など細かい規定があり、だれもが参入できる事業ではありません。

また、せっかく参入できても、成功するのが難しく撤退に至ってしまうケースもあるのです。

 

今回はそんなソーラーシェアリングについて、仕組みやメリット、成功させるためのポイントなどについて話をしていきます。

稲穂

 

 

ソーラーシェアリングとは?

ソーラーシェアリングとは、2m以上の支柱を立てて太陽光発電設備を農地に設置し、農業と太陽光発電を同時に行う仕組みのことで、営農型太陽光発電ともよばれます。

 

日本の農業は、農業従事者の高齢化や後継者不足、外国産農作物の増加による減収、先進国の中でも非常に低い食料自給率など、多くの問題を抱えています。

 

ソーラーシェアリングは農業に加えて、太陽光発電の新たな収入が得られるため、日本の農業が抱える問題の解消につながることが期待されています。

 

収入面と農業面、2つの視点から、ソーラーシェアリングのメリットについて考えてみましょう。

 

【収入面】

  • 農業に加えて売電収入が得られる
  • 収入が安定するので就農しやすい環境になる

 

【農業面】

  • 耕作放棄地や休耕地の解消につながる
  • 太陽光発電設備を利用して防虫ネットや遮光カーテンを効率よく張ることができる
  • 適度に影ができることで作物の成長に良い影響を与える

 

ソーラーシェアリングについて、こちらのコラムではデメリットも交えて解説しています。ぜひご参照ください。

ソーラーシェアリングのメリットとは?手続き方法や費用を解説

 

ソーラーシェアリングの条件とは

ソーラーシェアリングは、希望した人がみな算入できる事業ではありません。

まず、「営農していること」が必須条件となります。

 

そして本来、農地には太陽光発電設備は設置できません。

ソーラーシェアリングをするためには、農地の一時転用許可を受ける必要があります。

 

一時転用許可を受けるための条件には、以下のようなものがあります。

  • 発電設備は簡易な構造で容易に撤去できる支柱であること
  • 一時転用許可を得る面積が必要最小限で適正と認められること
  • 発電設備の下の農地で適切な営農が確実に継続されること
  • 農作物の生育に適した日照量を保つための設計となっていること
  • 支柱の高さが最低2m以上であり、農業機械が利用できる間隔が空いていること
  • 周辺の農地の効率的な利用などに支障を及ぼさないこと
  • 設備を撤去するために必要な資金等があること
  • 発電設備を電力系統に連系する場合は、電気事業者との契約を締結する見込みがあること

 

一時転用許可が下りても、以下のような状況が見られた場合は「営農の継続が確保されていない」と判断され、許可の取り消しとなります。

  • そもそも営農が行われていない
  • 発電設備下の農地における作物の単収が、同じ年の地域の平均的な単収と比較しておおむね2割以上減少している
  • 発電設備の下の農地で生産された農作物の品質に、著しい劣化が生じている
  • 農作業に必要な農業機械等を効率的に利用することが困難

ソーラーシェアリングではあくまでも「営農」がメインです。

まずは農業の基盤や専門性が確立されていることが重要となります。

 

なお、一時転用許可期間は最長3年でしたが、以下の条件のいずれかを満たせば最長10年に延長されます。

  • 担い手が、自ら所有する農地または賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を有する農地等を利用する場合
  • 荒廃農地を再生利用する場合
  • 第2種農地または第3種農地を利用する場合

これまでは3年ごとの再許可取得が手間もかかりネックでしたが、10年に延長されたことで許可申請の手間が省けるだけでなく、資金面でも融資を受けやすくなるのではないかと言われています。

 

 

ソーラーシェアリングを成功させる条件とは

農作業をする男性

ソーラーシェアリングは画期的な営農スタイルと言っていいですが、残念ながら撤退してしまうケースも見られます。

 

ソーラーシェアリングを成功させる条件について考察します。

 

① 作替えの検討

太陽光発電パネルを設置するため、日照条件が変わります。

影の影響が小さい作物に作替えを検討されるのも一つの方法です。

 

ただし収穫量も一定の水準以上を保たなければなりませんので、ノウハウを全く持っていない作物への作替えはリスクを伴うことは頭に入れておく必要があります。

また、作物の販路の確立も重要です。

 

 

② 近隣住民へ理解を得る

ソーラーシェアリングは高い位置にパネルを設置するため、周辺に農地があれば影ができるなど影響を及ぼしてしまう可能性があります。

 

また、ソーラーシェアリングはまだ新しくあまり知られていないため、設備を見て不安に思われる方もいらっしゃるようです。

設備導入前に近隣の方への説明をしっかりと行い、理解を得ておくことが大切です。

 

 

③ あくまでも太陽光発電はプラスアルファの収入と心得る

ソーラーシェアリングは営農が柱です。

太陽光発電で収益を上げることはできますが、あくまでも補助的な収入であることを念頭におきましょう。

大きな儲けを期待してしまうと、失敗したと感じてしまう原因になります。

 

 

ソーラーシェアリングを成功させる条件は「農業」

ソーラーシェアリングは、営農している土地に太陽光発電設備を設置して、農業と太陽光発電を同時に行うこと。

新たに土地を取得する必要が無く農業プラスアルファの収入が見込め、日本が抱える農業の問題とエネルギー問題を解消する手段になり得ると期待されています。

 

ソーラーシェアリングは農業と太陽光発電ができ、一石二鳥だと思われるかもしれませんが、誰でも始められるわけではなく、厳しい審査基準があります。

 

まずは営農がしっかりと行われており、農業の基盤が確立していることが条件です。

逆に、この条件を満たせなければソーラーシェアリングの成功はあり得ません。

 

ソーラーシェアリングを成功するために作替えを検討される農家の方も多いですが、経験不足などで収益が思いのほか上がらないリスクもあるため、十分な検討が必要です。

しかしながら、これからの日本の農業を支える新たなモデルとなる日は近いのではないかと感じています。

 

福島の太陽光発電投資を支えるアースコムでも「ミライ型農業」と銘打ち、ソーラーシェアリングプロジェクトを進めています。

気になる方はぜひお問い合わせください。

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