2021.03.19

ソーラーシェアリングの農地転用許可を詳しく!改正された内容や条件も

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株式会社アースコム 代表取締役の丸林です。

 

営農型太陽光発電とも呼ばれるソーラーシェアリングは、農地を利用して太陽光発電設備を設置するため「農地転用許可」が必要になります。

 

しかし、ソーラーシェアリングでは農業も並行して行っていくため、通常の農地転用許可とは条件が少々異なります。

 

今回は、ソーラーシェアリングにおける農地転用許可について解説するとともに、許可申請の改正についてもお話いたします。

稲穂

 

 

ソーラーシェアリングにおける「農地転用許可」とは?

通常、地目が農地となっている場所には、ビニルハウスなどの農業に関連する施設しか設置ができません。

ソーラーシェアリングで太陽光発電設備の設置を行うためには、支柱の基礎部分について、農地法に基づく農地の一時転用の許可を得る必要があります。

これを、農地転用許可申請といいます。

 

ソーラーシェアリングにおいて、農地の一時転用許可を受けるための条件には、以下のようなものがあります。

  • 発電設備は簡易な構造で容易に撤去できる支柱であること
  • 一時転用許可を得る面積が必要最小限で適正と認められること
  • 発電設備の下の農地で適切な営農が確実に継続されること
  • 農作物の生育に適した日照量を保つための設計となっていること
  • 支柱の高さが最低2m以上であり、農業機械が利用できる間隔が空いていること
  • 周辺の農地の効率的な利用などに支障を及ぼさないこと
  • 設備を撤去するために必要な資金等があること
  • 発電設備を電力系統に連系する場合は、電気事業者との契約を締結する見込みがあること

 

農地転用許可が必要なのに許可を受けていない場合、罰則もあります。

 

ソーラーシェアリングの農地転用許可、条件により10年以内に変更へ

これまで、農地の一時転用許可は「一律3年以内」とされていました。

この条件の下では3年ごとに農地転用許可が必要だったため、事業の見通しが不安定なものと見なされ、融資の面で不利になるケースがありました。

 

しかしながらソーラーシェアリングが拡大していくなかで、営農の実態に関するデータも揃うようになり「ソーラーシェアリングによって営農に支障があった事例の発生割合は、担い手(農業経営、認定農業者など)が営農している場合には非常に少なかったこと」「ソーラーシェアリングが荒廃農地の再生に貢献していること」がわかってきました。

 

そこで、一律3年以内だった農地転用許可は、条件を満たす場合については「10年以内」に延長されることとなったのです。

 

10年の一時転用許可が認められるのは、一律3年以内のときの条件をすべて満たし、かつ以下の条件のいずれかを満たす場合です。

  • 担い手が、自ら所有する農地または賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を有する農地等を利用する場合
  • 荒廃農地を再生利用する場合
  • 第2種農地または第3種農地を利用する場合

 

年数延長の改正により、ソーラーシェアリングのさらなる展開と躍進、農家の収益拡大による農業の持続的な発展、荒廃農地の活用の促進が期待されています。

 

 

ソーラーシェアリングを始める前に検討すべきことや国の支援措置

パソコンで農業をする夫婦

ソーラーシェアリングは、農業と太陽光発電のW収益構造をつくることができる新しい農業の形として期待がされている分野ですが、あくまでも「農業ありき」ということを忘れてはなりません。

 

ソーラーシェアリングを始めたは良いものの、撤退を余儀なくされるケースもゼロではないのが実情です。

 

ソーラーシェアリングを始めるにあたり、検討すべきことや国の支援措置についても頭に入れておく必要があるでしょう。

 

ソーラーシェアリングを始める前に検討すべき内容

営農による収穫量が基準に満たない場合、営農・事業計画の見直しを求められ、改善できないときには撤退を求められます。

 

育てる作物の種類や収穫量見込みなど、実現可能な範囲の営農計画書の作成をしましょう。

ソーラーシェアリング参入にあたり、これまで育てた経験がない作物の栽培を計画するのであれば、栽培に関する相談ができる人や窓口の確保をしておくことも大切です。

 

発電設備に関しては作物に必要な日光の量や、パネルの下でも農機具がスムーズに移動できるかなどで、適切な架台の高さ、間隔、パネルの設置枚数を熟考しなければなりません。

 

ソーラーシェアリングの支援窓口を確認しておく

ソーラーシェアリングは国が主体的に進めている、農業の新しい姿を目指すものです。

実施例は増えてきていますがまだまだデータが少なく、長い間農業に携わっている方でも太陽光発電設備に戸惑うことも多いと考えられます。

ソーラーシェアリングに関しての相談・支援窓口は現在、農林水産省の再生可能エネルギー室、地方農政局などの経営・事業支援部、食品企業課、一般社団法人 全国ご当地エネルギー協会などに設置されています。

 

「ソーラーシェアリングを始めたいがどうしたらいいのか分からない」「栽培作物について相談したい」「設備設置にあたり資金調達方法を教えてほしい」などのさまざまな疑問について、各部門の専門家が回答してくれる窓口を把握しておくと、事業開始前だけでなく事業開始後にも安心です。

 

 

ソーラーシェアリングの農地転用許可リスクは期間延長で回避

農地で太陽光発電と農業を行うソーラーシェアリングでは、太陽光発電設備設置箇所の農地転用許可が必要です。

 

ソーラーシェアリングで農地の一時転用許可を受けるためには、さまざまな条件をクリアする必要があります。

 

これまで一時転用許可は一律3年とされ、3年ごとに許可申請が必要であったため、融資の際に事業継続のリスクと考えられることもありました。

しかし、ソーラーシェアリング事業が増えていくなか、ソーラーシェアリングが荒廃農地の解消に役立っていることや、営農に支障がある例が少なかったことなどが明らかになり、農地転用許可は条件を満たせば10年に延長されることとなったのです。

 

今後もソーラーシェアリングのさらなる発展を進めるため、営農計画・事業計画をしっかり立てることが大切です。

ソーラーシェアリングについての支援窓口もありますので、上手に利用すると良いでしょう。

 

太陽光発電投資をサポートするアースコムでは、福島の活性化を目指すソーラーシェアリングも行っております。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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