2023.12.08

即時償却のメリットとは?税額控除との違いや即時償却が可能な制度も

facebook

twitter

line

いつも当コラムをお読みいただき、ありがとうございます。

株式会社アースコム、取締役副社長の丸林です。

 

太陽光発電投資をする際、中小企業のみ、太陽光発電システムの即時償却をすることができる制度があります。

大企業は利用できない制度で、節税効果も高いのでぜひ利用したいところです。

 

また、中小企業を対象とした控除には、即時償却のほかに税額控除もあります。

 

今回は、即時償却と税額控除のメリットからどちらを選んだ方が良いか、即時償却をする方法や条件についてご紹介します。

確定申告用紙とスマホの電卓

 

太陽光発電投資での「即時償却」とは?税額控除とはどう違う?

即時償却とは、太陽光発電システムなどの大型機械に設備投資を行った際にかかった費用を、事業初年度に経費として一括計上できることを言います。

そのため、一括償却と呼ばれることもあります。

 

通常、設備投資を行った場合、定められた耐用年数を元に毎年一定額を経費として計上していく減価償却を行います。

 

例えば太陽光発電システムの場合は耐用年数は17年と定められていて、設備投資に1,700万円かかったとすると、毎年同じ額を支払う定額法の場合、1年目から17年目まで100万円ずつ費用として計上していくことになります。

 

これが即時償却になると、1年目に1,700万円を一括で経費として計上できるのです。

 

同じく税制優遇措置として挙げられる税額控除は、税金から一定の割合を直接控除するもので、初年度の法人税の控除が受けられます。

 

税額控除限度額は、国税庁のホームページで「取得価額の7%相当額(特定中小企業者等(注)においては10%)」とされています。

ここで言う特定中小企業者等とは、対象となる中小企業者のうち、資本金の額又は出資金の額が3,000万円を超える法人以外の法人や農業協同組合等及び中小企業等協同組合等を指しています。

 

先ほどの例と同じく1,700万円の太陽光発電システムを購入した場合、1,700万円×7%=119万円の法人税が減額されます。

 

この「即時償却」と「税額控除」は、いずれもこの制度における税制優遇措置ですが、どちらか一方しか受けられません。

 

即時償却と税額控除のメリットを知り、どちらを選ぶか検討しよう

メリットとデメリット

税制優遇措置では、即時償却か税額控除かのどちらかを選ぶ必要があります。

 

メリットの大きい税制優遇措置ですが、場合によってはデメリットになることもあるので、それぞれのメリット・デメリットをしっかり理解しておかなければなりません。

 

即時償却のメリット・デメリット

即時償却のメリットとデメリットについてまとめました。

 

<メリット>

  • キャッシュフローが良くなる
  • 利益が大きい年に適用すると利益が下がるので翌年の税金が下がる

 

<デメリット>

  • 税金のトータルの支払い額は同じ
  • 翌年以降は減価償却ができないので法人税が高めになる

 

即時償却の最大のメリットは、設備投資にかかった資金を初年度に一括で計上できることです。

特に利益が多い年に設備投資をして即時償却すれば税金が抑えられ、浮いた資金でさらに別の設備投資を行うことも可能です。

つまり、節税効果を早い時期に実感でき、財務戦略を立てやすいのが即時償却です。

 

税額控除のメリット・デメリット

税額控除のメリットとデメリットについてまとめました。

 

<メリット>

  • 支払う税金が少なくなる

 

<デメリット>

  • 利益が出ていない場合は税額も低いので節税効果が低い

 

税額控除は確実に税金を少なくしてくれるので、支払金額は即時償却よりも少なくなります。

導入した最初の年でも利益に比較的余裕がある場合は、長い目で見て税金を減らす方向で考えるといいかもしれません。

 

ただし、かかる税金が控除されるため利益が少ないと税金も少なく、結果的に控除額も少なくなってしまい、あまりお得とは言えない場合もあります。

 

 

即時償却ができる条件とは?一部の地域ならではの優遇措置も

太陽光発電投資において、即時償却または税額控除が認められる条件の一つに「中小企業経営強化税制の適用」があります。

 

中小企業経営強化税制(中小企業等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)を簡単にまとめると、以下のような内容になります。

  • 適用期間は平成29年4月1日~令和7年3月31日
  • 対象は青色申告をしている中小企業経営強化税制の認定を受けた中小企業
  • 太陽光発電など「企業の生産性が向上する」または「収益力が向上する設備を取得」した場合に適用される

 

なお、対象となる中小企業の条件は「出資金・資本金が1億円以下」または「従業員が1,000人以下」とされています。

※中小企業経営強化税制に関しては、弊社では取り扱いしておりません。

 

福島では「ふくしま産業復興投資促進特区制度」で即時償却が可能に!

福島県では「ふくしま産業復興投資促進特区の税制優遇措置」があり、復興産業集積区域内で新規投資や雇用の創出などを目指す法人や個人事業主に対して、税制の優遇がされます。

太陽光発電も対象となっており、認定を受ければ太陽光発電設備の即時償却が可能です。

 

以下が、「ふくしま産業復興投資促進特区制度」の条件です。

  • 復興産業集積区域内に設置された太陽光発電設備であること
  • 事業年度内に系統連系(売電開始)されていること
  • 決算月の前月末までに指定申請書類一式を各市町村に提出し、指定書を受領すること
  • 決算月の翌月末までに実施報告書を提出し、認定書を受領すること

 

詳しくは、過去のコラム「福島では太陽光発電設備の即時償却が可能! 一括償却は今がチャンス!」をご覧ください。

 

私たちアースコムでは「ふくしま産業復興投資促進特区制度」を使った節税が可能です。

面倒な申請も無料代行いたします!

福島で太陽光発電投資をご検討中の方は、ぜひご相談ください。

 

 

即時償却のメリットデメリットを検討してお得な太陽光発電投資を

中小企業が太陽光発電投資を行う場合、中小企業経営強化税制の条件を満たせば即時償却または税額控除が可能です。

 

さらに、福島県で太陽光発電投資を行う場合には「ふくしま産業復興投資促進特区の税制優遇措置」で即時償却をすることもできます。

 

制度を利用する際は即時償却と税額控除の併用はできません。

 

企業の経営状況や経営方針、財務状況によっても、即時償却と税額控除のどちらが合っているかは変わってきます。

それぞれメリットとデメリットを把握したうえで、どちらが向いているかをしっかり検討しましょう。

facebook

twitter

line

この記事を書いた人

丸林綾子(取締役 副社長)

2008年にアースコム創業して以来、「営業」「マーケティング」「土地調達」「開発」「メンテナンス」など、太陽光発電に関連するあらゆる業務を16年にわたり統括してきました。

現在は、太陽光発電事業だけでなく、「FIT-EASY」や「ミルクドドレイク」といった新規事業の責任者としても活動。これらの事業を成功に導く中心的役割を果たしています。

閉じる