2022.11.05
カーボンニュートラルとSDGsとの関係は?取り組み内容も解説!
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの石井です。
「カーボンニュートラル」については聞いたことはあるけど、どんな意味か詳しくはわからないという方が多いのではないでしょうか?
カーボンニュートラルとは、簡単に言うと「気候変動につながる温室効果ガスの排出量を地球全体で実質ゼロにすること」を意味します。
日本では、2020年に当時の菅首相が「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と宣言しています。
それに向けて、現在どんな取り組みが行われているのでしょうか?
今回は、カーボンニュートラルとSDGsとの関係についてや、各国の取り組みについてもご紹介します。
目次
カーボンニュートラルとは?その意味や実施の背景
カーボンニュートラルの定義とは、どのようなものを指すのでしょうか?
まずはカーボンニュートラルの意味や実施の背景について、ご紹介していきましょう。
カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルとは、言葉の意味だけを説明すると、炭素(カーボン)を中立(ニュートラル)にすることを表します。
気温上昇の原因になっている温室効果ガスの大半を占めている二酸化炭素は、炭素を燃やすことで排出されます。
カーボンニュートラルをもう少し具体的に伝えると、温室効果ガスを二酸化炭素に換算し、排出する二酸化炭素と森林などに吸収される二酸化炭素との合計が、ゼロになることを目指す取り組みです。
このカーボンニュートラルを実現する社会を目指し、現在各国が取り組んでいます。
カーボンニュートラル実施の背景は
カーボンニュートラルの実施が求められる背景として、地球温暖化による気候変動が、私たちの生活に大きく影響を与えることへの懸念が挙げられます。
近年、大気中の温室効果ガス濃度が上昇することにより、地球の平均気温は大きく上昇しています。
1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立された、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、2021年の報告で世界の平均気温は工業化前と比べて、2011年〜2020年で1.09℃上昇していると発表しています。
さらに、地球温暖化が進むことで、以下のような影響が懸念されています。
- 海水面の上昇
- 洪水や干ばつ
- 生態系への影響
- 熱中症など健康への影響
このような影響が拡大することによる影響を軽減するためには、二酸化炭素の排出量を減らしていくカーボンニュートラルの取り組みが非常に重要なのです。
カーボンニュートラルの実現はSDGsにつながる!取り組み内容は?
近年話題になっているSDGsは「持続可能な開発目標」の略称です。
貧困や格差、気候変動による影響など、さまざまな問題を解決し、すべての人々にとってより良い世界を目指していくための目標です。
内容としては、17の目標・169のターゲットから構成され、その中には環境問題に対する目標が多く含まれています。
カーボンニュートラルと関連するSDGsの目標は?
SDGs17の目標のうち、カーボンニュートラルに関連するものは主に以下の2つです。
- 目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」
- 目標13「気候変動に具体的な対策を」
それぞれ解説していきます。
目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」
SDGs目標7では、安心かつ信頼できるエネルギーをすべての人が使える状況にすることや、再生可能エネルギーの割合を拡大することなどが目的とされています。
再生可能エネルギーは、太陽光や風力、水力、バイオマスといった自然の力から生み出されるエネルギーで、二酸化炭素を排出しません。
これは、カーボンニュートラルの実現にもつながる目標です。
目標13「気候変動に具体的な対策を」
目標13は、温室効果ガスを減らすなどして、気候変動に対し具体的に取り組むことを目的としています。
2015年「パリ協定」では、地球の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く抑え、できれば1.5℃までにしようという目標が示されました。
この目標を実現するためには、二酸化炭素をゼロにするカーボンニュートラルの取り組みが欠かせません。
SDGsと二酸化炭素削減については「SDGsと二酸化炭素削減の関わりとは?現状や取り組み事例も紹介」でも詳しく紹介していますよ。
カーボンニュートラルを実現するための取り組みとは
では、実際にカーボンニュートラルを実現するために、どのような取り組みをしているのでしょうか?
具体的な取り組みとしては、以下のものが挙げられます。
- エネルギー消費量に関する削減
- 再生可能エネルギーの活用
- カーボン・オフセットの推進
- カーボンリサイクル
エネルギー消費量に関する削減
一人ひとりが家庭で使用する電気の使用量を削減する、省エネ家電を使用するなどの取り組みや、企業についても国の補助金を活用した省エネの取り組みを行っています。
照明のLED化や高効率の空調システムの導入、電気自動車の普及なども、取り組みの一例です。
再生可能エネルギーの活用
二酸化炭素を排出する石油や石炭などの化石燃料を使用せずに、自然の力を使用したエネルギーを活用することです。
具体的には、太陽光発電や風力発電、バイオマス、地熱発電などの活用が挙げられます。
カーボン・オフセットの推進
カーボン・オフセットとは、削減しきれなかった二酸化炭素排出量を、排出削減に取り組んでいる活動に投資するなどして排出量を差し引く(オフセットする)取り組みです。
排出される温室効果ガスを市場での取引などで埋め合わせする方法ですが、それ自体は排出量を減らすことにはつながりません。
排出削減の取り組みを行った上で、どうしても削減できなかった部分を埋め合わせをすることが重要です。
カーボンリサイクル
カーボンリサイクルは、大気中の二酸化炭素を地中に埋めたり、回収して分解するなどして削減することや、排出された二酸化炭素を利用して化学製品や燃料を製造することを指します。
二酸化炭素を再利用して作られた例としては、以下のものがあります。
- 化学製品:ポリカーボネートやウレタンなど
- 燃料:合成燃料やバイオ燃料、ガス燃料など
カーボンニュートラルに関する世界の動向もチェックしてみよう
日本では、2050年にカーボンニュートラルを実現すると宣言してから、それに向けてさまざまな取り組みをしています。
環境省は、地域脱炭素ロードマップを作成し、脱炭素に意欲的に取り組む企業に出資する制度作って企業の支援を行うことをはじめ「2050年までの脱炭素社会の実現」を明記した、改正地球温暖化対策推進法を成立させています。
カーボンニュートラルに向けた世界の動きを見てみよう
日本以外の国々での状況はどのように取り組まれているのでしょうか?
米国の状況
米国では、バイデン政権になってから、就任初日にパリ協定の復帰を決定しました。
2021年4月22日には気候サミットを開催するなど、就任直後から地球温暖化に関する政策を打ち出しています。
2050年までに温室効果ガスを実質ゼロに、2035年までに発電部門の温室効果ガス排出ゼロに移行することなどを目標に掲げています。
中国の状況
習近平国家主席は、2020年の国連総会一般討論演説で「2030年までに二酸化炭素排出を減少に転じさせ、2060年までに炭素中立を達成するように努める」と発表しています。
また、中国の電気自動車市場は急速に拡大しており、新エネルギー自動車向けの補助金などにより、2025年までに新車販売における新エネルギー車の割合を20%前後に引き上げ(現在は約5%)、2035年までに新車販売の主流を電気自動車(EV)にすることを目標にしています。
企業の取り組み事例
ここからは、カーボンニュートラルに実際に取り組んでいる企業の例をご紹介します。
航空会社
航空業界では、クリーンなバイオジェット燃料(バイオマス原料をもとに製造された燃料)の開発と実用化が進んでいます。
日本国内でもバイオジェット燃料製造事業への投資をしており、製造されたバイオジェット燃料の搭載が進められる予定です。
また、乗客がWEBサイトで、搭乗した区間や人数などに応じて排出した二酸化炭素排出量と換算した金額が確認でき、その金額を二酸化炭素削減、吸収プロジェクトに寄付できる仕組みなども構築されています。
コンビニエンスチェーン
国内大手コンビニエンスチェーンでは「CO2オフセット運動」を行っています。
コンビニを利用する個人が簡単に二酸化炭素排出量をオフセットできるサービスで、店舗の端末で二酸化炭素の排出権(クレジット)を購入できる仕組みです。
この他、一部の店舗では店の屋根に太陽光発電のシステムを導入することや、冷凍・冷蔵システムを省エネ効率の高いものに替えるなどの取り組みが実施されています。
SDGs目標実現のために欠かせないカーボンニュートラルの実現
SDGsは、すべての人々にとってより良い世界を目指すと目標を掲げていますが、その中でも、環境に対する取り組みは非常に重要です。
カーボンニュートラルの取り組みを進めることが、SDGsの目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」目標13「気候変動に具体的な対策を」の実現へとつながります。
今後の気温上昇で予測される深刻な環境の変化を食い止めるためにも、わたしたち一人ひとりがカーボンニュートラルの取り組みを理解して、協力していくことが必要です。
アースコムでは、カーボンニュートラルを実現するための太陽光発電投資・環境事業投資をサポートしています。
お気軽にご相談ください!