2022.11.25
マイクロファイナンスとは?貧困改善のスキームや課題点も確認
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。
SDGsの目標1では、世界から貧困を無くすことを掲げています。
世界にはまだ貧困で苦しんでいる人が多くいますが、この貧困に対してわたしたちができる方法の1つとして「マイクロファイナンス」があります。
貧困対策として、少額の融資を行い貧困地区の自立を促す仕組みです。
今回はこのマイクロファイナンスについて、目的や参加する方法についてご紹介します。
目次
マイクロファイナンスとは?
まずはマイクロファイナンスの内容や目的、その効果について解説していきましょう。
マイクロファイナンスとは、貧しい人に向けた貧困緩和を目的とした金融サービスのことを指します。
マイクロファイナンスの中には、少額の融資を行う「マイクロクレジット」や、少額の保険を扱う「マイクロインシュアランス」などのサービスがありますが、それらの総称を現在「マイクロファイナンス」と呼んでいます。
マイクロファイナンスの目的は?
マイクロファイナンスは、寄付による貧困対策と異なり、貧困層が行うビジネスに対する融資が目的です。
一時的に貧困をしのぐのではなく、融資をもとに事業を起こし、その事業が根付いて継続的に収入を得ることを目指します。
小規模金融自体は、昔から高利貸や質屋などの形態で存在しています。
しかし、それらも利用できない貧困層にとっては、無担保で少額の融資が受けられるこの制度が、不安定な経済状況を脱する手立てとなるのです。
マイクロファイナンスによる効果は?
貧困層では、肉体労働に従事する成人男性が優遇され、女性は賃金が低いため教育の機会を減らされやすい状況にあります。
特にマイクロファイナンスについては女性の利用が多く、女性の経済的自立や社会的地位向上をもたらすことにもつながります。
さらに、マイクロファイナンスを利用した女性の収入が増えて地位が向上することで、家庭内の交渉力が増し、女性の厚生を高める効果も期待されています。
マイクロファイナンスのスキーム(仕組み)も確認!
マイクロファイナンスは、どのようなスキーム(仕組み)で運用されているのでしょうか?
気になるマイクロファイナンスのスキームについても、確認していきましょう。
マイクロファイナンスのスキームとは?
マイクロファイナンスはバングラデシュの「グラミン銀行」が有名です。
グラミン銀行と創始者であるムハマド・ユヌス総裁は、その功績が認められ2006年にノーベル平和賞を受賞しました。
グラミン銀行が実施していたマイクロファイナンスのスキームには「グループ貸付」と呼ばれる制度があります。
グループ貸付とは、無担保で貸付をする代わりに5人のグループに対して融資を行い、そのうち誰か1人でも返済できなければ、残りの4人も今後一切融資が受けられなくなる連帯責任をとる方式です。
この仕組みにはメリットが3つあるといわれています。
- 誰かの事業がうまく行かなくなっても他の仲間が助け、融資を受けられなくなることを防げる
- 誰かが怠けたり危険な投資を行おうとした場合、自分に危害が及ぶためお互いにチェックし合える
- 危険な人とはグループを組みたくないため、安全な人とのみグループを組むことで、銀行側のリスクも軽減される
このような効果を発揮し、グラミン銀行はマイクロファイナンスでの成功をおさめることができました。
また、このスキームは「グラミン方式」と呼ばれ、多くの地域で採用されています。
マイクロファイナンスの課題点や日本での参加方法・取り組みとは?
貧困対策として注目されているマイクロファイナンスですが、いくつかの課題もあります。
課題点や、わたしたちが日本で参加できる方法についてもご紹介します。
マイクロファイナンスの課題点とは?
マイクロファイナンスに対する研究が進むにつれて、以下の課題点も明らかになっています。
- グループ貸付に対する問題点
- 多重債務者への対応
- 1箇所にマイクロファイナンス機関が集まることの懸念
グループ貸付に対する問題点
現在は、グループ貸付の有効性についても見直されており、グループではなく個人への貸付も行われています。
理由としては、他のメンバーが返済できないと自分が肩代わりすることになるため、メンバー同士のプレッシャーがきつくなり、軋轢(あつれき)が生じることが挙げられます。
多重債務者への対応
マイクロファイナンスが拡大するにつれ、多重債務者への対応も課題となっています。
マイクロファイナンス機関は金融機関のため、貸付をしなければ収益が伸びません。
貸付を拡大するインセンティブが働くため、楽観的な夢を抱かせて貸付を行い、返済が滞ってしまう多重債務の問題も発生しています。
1箇所にマイクロファイナンス機関が集まることの懸念
マイクロファイナンスは貧困対策としての効果が認められ、世界中に拡大していますが、マイクロファイナンス機関が1箇所に増えることで、競争が厳しくなると利潤が下がります。
利潤が下がることでマイクロファイナンス機関は、ビジネスがうまく行かない可能性がある貧困層への融資を減らし、有能であまり貧困でない層に融資を回してしまうといった課題も見られます。
マイクロファイナンスの日本での取り組み・参加方法
日本ではまだ貧困といってもそれほどいないと思われがちですが、徐々に格差が拡大しており、相対的貧困ライン(その国の基準からすると貧困となる状態)以下で生活している人が6人に1人いるといわれています。
特にシングルマザー家庭においては、過半数が貧困状態であり、日本の大きな課題となっています。
そんな中、2018年9月に日本で「グラミン日本」が設立され、グラミン銀行日本版のマイクロファイナンスがスタートしています。
わたしたちが日本国内でマイクロファイナンスへ参加する場合は、グラミン日本のような事業者を支援することや、マイクロファイナンスを行っているNPO団体へ寄付することから始めると良いでしょう。
また、世の中を良い方向に変えていく投資方法に「インパクト投資」という考え方があります。
「インパクト投資の概要を詳しく!種類や他の投資との違いを解説」でご紹介していますので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
マイクロファイナンスの拡大で世界から貧困をなくしていこう
SDGsの最初に出てくる目標1は「貧困をなくそう」です。
世界には貧困に苦しんでいる人々がまだ多数いますが、その課題を解決する手段の1つとしてマイクロファイナンスが注目されています。
マイクロファイナンスは寄付と違い、融資を行うことで現地の自立を促すスキームです。
貧困層が自立することで継続的に貧困から脱することができます。
日本国内でもグラミン日本をはじめ、NPO団体などがマイクロファイナンスを実施していますので、貧困支援に参加してみてはいかがでしょうか。
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