2023.08.30
ディーセントワークとSDGsの関係は?取り組み方法も解説!
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。
ディーセントワークとは、「働きがいのある人間らしい仕事」のことを表す言葉です。
近年働き方改革で労働環境を改善しようと取り組む中、このような考え方が注目されるようになってきました。
今回は、ディーセントワークについて、その内容やSDGsとの関係もあわせて解説していきます。
目次
ディーセントワークとは?SDGsとの関係も解説
ディーセントワークの「ディーセント」は、日本語で「きちんとした」「まともな」などを意味する言葉です。
このディーセントワークという言葉は、1999年の第87回ILO(国際労働機関)総会に提出された事務局長報告書で初めて用いられました。
報告書の中で、「ディーセントワークとは、権利が保証され、十分な収入を生み出し、適切な社会的保証が与えられる生産的な仕事を意味します」と述べられています。
ディーセントワークが世界で重視されている背景としては、雇用環境においてさまざまな問題が発生していることが挙げられます。
2021年の世界の失業率は6.2%、また、世界全体で10人に1人の子供が児童労働に従事しているなど深刻な労働問題が発生しています。
このような中、世界では強制労働や人身売買、児童労働などの問題とあわせて、すべての人に完全かつ生産的な雇用の機会を与えることを目指しているのです。
ILOは、このディーセントワークの実現のために、以下の4つの戦略目標を掲げています。
- 仕事の創出:必要な技能を身につけ、働いて生計が立てられるように、国や企業が仕事を作り出すことを支援
- 社会的保護の拡充:安全で健康的に働ける職場を確保し、生産性も向上するような環境の整備、社会保証の充実
- 社会対話の推進:職場での問題や紛争を平和的に解決できるように、政・労・使の話し合いの促進
- 仕事における権利の保証:不利な立場に置かれて働く人々をなくすため、労働者の権利を保障、保護
ディーセントワークとSDGs目標8の関係
このディーセントワークは、SDGsにおける、目標8とも共通しています。
SDGsとは、「持続可能な開発目標」の略で、2015年9月の国連サミットで採択された、「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す」国際目標です。
SDGsは、貧困や平等、地球温暖化などの地球環境に関する項目を含む17の目標で構成されていますが、その中の目標8は、「働きがいも経済成長も」とされています。
目標8の具体的な内容としては、みんなの生活を良くする安定した経済成長を進め、だれもが人間らしく生産的な仕事ができる社会を作ることを目標としており、ディーセントワークが求める内容と共通しています。
このように、世界ではすべての人がディーセントワークを実現することが求められているのです。
SDGsに対する詳しい内容は、こちらのコラムでも紹介しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
また、アースコムでは、SDGsを達成するため、地域の雇用創出などの取り組みを行なっています。
くわしくはこちらで紹介していますので、ぜひご確認ください。
日本でのディーセントワークの定義や課題は?
SDGsなど世界的な取り組みの中で注目されているディーセントワークですが、日本ではどのような取り組みがされているのでしょうか?
日本におけるディーセントワークの定義や、課題について見ていきましょう。
日本におけるディーセントワークの4つの定義とは?
日本では、ディーセントワークを推進するために、厚生労働省が以下の4つの項目を定義しています。
- 働く機会があり、持続可能な生計に足る収入が得られること
- 労働三権などの働く上での権利が確保され、職場で発言が行いやすく、それが認められること
- 家庭生活と職業生活が両立でき、安全な職場環境や雇用環境、医療/年金制度などのセーフティネットが確保され、自己の研鑽もできること
- 公正な扱い、男女平等な扱いを受けること
この4つの項目が実現された状態がディーセントワークが達成された状態ですが、それにはまだ、さまざまな課題があります。
日本のディーセントワークに対する課題
日本国内におけるディーセントワークに対する課題は多数ありますが、ここでは代表的な3つの問題を紹介します。
長時間労働
労働基準法では、1日あたり8時間、1週間あたり40時間以下と労働時間の上限が定められています。
しかしながら、厚生労働省の調査(2022年)では、週49時間以上働いている人の割合が15.1%となっています。
さらに男女差で見ると、男性は21.7%もの人が週49時間以上労働しており、女性は6.9%と大きな差になっています。
海外と比較してみると49時間以上働いている人の割合は、以下のようになっています。
- アメリカ 14.6%
- イギリス 11.4%
- ドイツ 5.7%
諸外国と比べると、日本人は労働時間外に働く人が多いことがわかります。
男女間の待遇格差
日本の労働状況の課題として、男女間の待遇格差も挙げられます。
労働者の賃金を調べた内閣府の資料(2021年)によると、男性の一般労働者の平均給与を100とすると女性の給与は75.2となっており、男女間での格差があることがわかります。
OECD加盟国の平均と比較しても低い水準となっています。
この原因としては、女性の管理職の人数が少ないことや、勤続年数が男性に比べて短いことなどがあり、政府として女性管理職の割合を公表することなどを求めています。
正規雇用・非正規雇用の格差
3つ目の課題は、正規雇用と非正規雇用の格差です。
正規雇用される社員に対して、非正規雇用とは、契約社員や派遣労働者、パートやアルバイトのことを指します。
2022年の厚生労働省の統計では、一般労働者で見ると、正社員の平均賃金が時給1,976円に対して、非正規の場合1,375円と差があります。
政府は、同一労働同一賃金の推進を測っていますが、まだ改善には至っていません。
ディーセントワーク実現のために。私たちが取り組めることは?
厚生労働省は、先程紹介したディーセントワークの4つの定義とあわせて、以下の「7つの評価軸」を示しています。
- WLB(ワーク・ライフ・バランス)軸
仕事や家庭での生活のバランスが保たれているか?いくつになっても働き続けられる環境かどうかを判断する軸 - 公正平等軸
労働者が、職場で公平に評価され、平等に活躍できる職場かどうか判断する軸。
男女や正規・非正規などに関わらず活躍できる状況であることが重要となります。 - 自己鍛錬軸
能力開発などの機会が与えられ、キャリアアップをしていくための研修機会などが充実している職場がどうか判断する軸。 - 収入軸
生活していくために十分な収入を得られる職場であるかを示す軸。 - 労働者の権利軸
労働者が働く上で権利を主張できる状況であるか、組合などを通じて、発言が認められる職場かどうか判断する軸。 - 安全衛生軸
安全で衛生的な環境が確保されている職場であるかを判断する軸。
長時間労働などを減らし、身体的な安全面だけでなく、精神疾患なども防ぎ、心身の安全にも配慮する必要があります。 - セーフティネット軸
公的な雇用保険、医療・年金制度など社会保険の充実状況で判断する軸。
企業のディーセントワークの達成度を判断するには、この7つの軸に基づいて取り組みが行われているかがポイントとなります。
SDGsの目標にも含まれるディーセントワーク実現に向けて取り組もう
これからは、誰もが働きがいがあり人間らしい仕事、ディーセントワークを実現できる状況にしていくことが重要です。
SDGsの目標8とも共通するディーセントワークは、現在世界で求められている働き方となっています。
日本は、長時間労働や男女の給与格差、正規・非正規の問題など課題はまだまだ多くある状況です。
私たち一人ひとりが、このディーセントワークの考え方を意識して、より良い労働環境を目指して取り組みを行なっていくことが大切でしょう。
アースコムでは太陽光発電を通して、持続可能な環境に貢献しています。
お気軽にご相談ください!