2023.09.18
MDGsとSDGsの違いとは?MDGsの課題やSDGsの事例も解説
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。
MDGsとは、「ミレニアム開発目標」の略で、SDGsができる前に作成された開発目標です。
SDGsについてはよく聞くけど、MDGsは聞いたことがないという方も多いですよね。
今回は、このMDGsについて、SDGsとの違いや、課題、SDGsへ引き継がれた内容などについてお伝えします。
目次
MDGsとは?作られた背景や成果を解説
MDGsとは、2000年9月にニューヨークで開催された、国連ミレニアム・サミットで採択された「国連ミレニアム宣言」をもとにまとめられたものです。
英語では「Millennium Development Goals」、日本語では「ミレニアム開発目標」と訳されます。
MDGsは、極度の貧困の撲滅や初等教育の完全普及の達成などの8つの目標からなり、2015年の達成に向けて取り組みが行われました。
MDGsが作られた経緯
1990年代以降、世界ではさまざまな国際会議において、環境問題や人権問題が議論されてきました。
以下が1990年代の主な国際会議で採択された目標です。
- 1992年国連環境開発会議(地球サミット)で「環境と開発に関するリオ宣言」が採択
- 1995年世界社会開発サミットで「コペンハーゲン宣言」が採択
- 1997年気候変動枠組条約 第3回締結国会議(COP3)で「京都議定書」が採択
さまざまな目標が採択される中で、1990年代に採択された内容を統合する形で2000年にMDGsが作られました。
MDGsの成果や課題
MDGsでは2015年を達成期限として以下の8つの目標が作られました。
- 極度の貧困と飢餓の撲滅
- 普遍的初等教育の達成
- ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
- 乳幼児死亡率の削減
- 妊産婦の健康の改善
- 妊産婦の健康の改善
- 環境の持続可能性の確保
- 開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
2015年時点で達成された成果や課題がありますので確認していきましょう。
ユニセフでは、それぞれの目標について成果と課題が報告されています。
8つの目標について主な成果と課題を一部ご紹介します。
1.極度の貧困と飢餓の撲滅
- 成果:極度の貧困(1日1.25米ドル未満で生活)で暮らす人の数は、19億人(1990年)から8億3,600万人(2015年)と、半数以下に減少
- 課題:極度の貧困にいる人びとの約80%が、南アジアもしくはサハラ以南アフリカで暮らしている
2.普遍的初等教育の達成
- 成果:途上国の初等教育純就学率は80%(1990年)から91%(2015年)に増加
- 課題:小学校に通っていない5,700万人のうち、3,300万人がサハラ以南のアフリカで暮らしている。また、全体の半数以上を占める55%が女の子
3.ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
- 成果:途上国の3分の2以上で、初等教育の就学率において男女の格差が解消
- 課題:初等教育の就学率に関する男女の格差が解消していない途上国のうち、56%がサハラ以南アフリカの国々
4.乳幼児死亡率の削減
- 成果:5歳未満児年間死亡数は1,270万人(1990年)から590万人(2015年)と、53%減少
- 課題:毎日1万6,000人の5歳未満児が命を落としており、その大半は予防可能な病気が原因
妊産婦の健康5.の改善
- 成果:妊産婦死亡は、10万人あたり380人(1990年)から210人(2013年)に減少(死亡率は45%減少)
- 課題:妊産婦死亡はサハラ以南アフリカと南アジアに集中しており、2013年における世界全体の数の86%を占める
6.HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の蔓延防止
- 成果:HIVの新たな感染は、推定350万人(2000年)から210万人(2013年)と、40%減少
- 課題:新規にHIVに感染した若者(15〜19歳)のうち、3分の2は女性
7.環境の持続可能性の確保
- 成果:改善された水源から安全な飲料水を入手できる人の割合は、76%(1990年)から91%(2015年)に向上。1990年以降、26億人が新たに利用できるようになった
- 課題:地表水を使う人の90%が農村部で暮らしている
8.開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
- 成果:インターネットの普及率は、世界の人口のわずか6%余(2000年)から43%(2015年)まで増加。新たに32億人がインターネットの情報網につながることができた
- 課題:インターネットの普及にも格差が生じており、先進国の82%に対し、途上国では人口の3分の1にとどまる
MDGsとSDGsの違い
MDGsは、2015年を達成期限として設定されましたが前項で紹介した通り、課題も多く残っています。
そこで、国連はこれらの課題を達成するため、2015年9月の「持続可能な開発サミット」において、MDGsを引き継ぐ形でSDGsを採択したのです。
SDGsは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略で、2030年までに17の目標を達成することを目指しています。
17の目標の中には、貧困の解消や気候変動への取り組み、人権の問題などさまざまな課題について、169のターゲットを設定して取り組む内容となっています。
MDGsとSDGsの違いは?
MDGs達成に向けた努力により、2015年時点で、極度な貧困の解消が進み、5歳未満で命を落とす子どもの数が減るなど多くの問題に対して前進がありました。
しかし課題も多く残されているのが実情です。
SDGsではこれらの課題を踏まえた目標が設定されています。
特に大きな変更点は、MDGsが途上国中心の課題だったものに対して、SDGsは「誰ひとり取り残さない」を掲げ次の3点を含んでることです。
- MDGsで達成できなかった課題
- MDGsには含まれていなかった課題
- 新たに浮上してきた課題
SDGsの目標は、これらの3つの課題を包括的に含み、先進国も途上国も取り組むべき普遍的なものとなっているのです。
SDGsの目標や日本での取り組みはこちらのコラムで詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
MDGsで残った課題を達成するにはSDGsへの取り組みが重要
SDGsは、MDGsの残された課題とともに、先進国なども含むすべての人びとに向けた目標に広がっています。
SDGsに取り組むことが、MDGsの課題達成につながり、現在世界で抱えている人権や環境問題など幅広い課題を解決していくことになるでしょう。
ここでは、2つの具体的な取り組みを紹介していきます。
引越し業者
引越し業者では、ごみゼロを目指し、引越しに使う梱包資材を減らす取り組みを行なっています。
従来のダンボールを使った梱包ではなく、再利用できるボックスを開発し、食器や靴、薄型テレビなどさまざまなものを梱包。
また、ダンボールを使用した場合は、使用済みのものを回収して再利用し、ごみゼロを目指しています。
また、従来紙で行なっていた見積りの提示ではタブレットを使って実施。
複写式だった手書きの見積りを電子化することで紙の使用量削減を行なっています。
即席麺メーカー
本社の使用電力の50%を再生可能エネルギー由来の発電電力に切り替え。
ごみの焼却に伴うエネルギーを活用する「ごみ発電電力」を使用しています。
また、使用食材は、植物由来原料を活用し、従来の畜産に必要な餌や水、牛のゲップや糞尿から排出されるメタンガスは環境負荷が大きいため、動物性具材から植物性由来に置き換える対応を進めています。
MDGsとSDGsの違いを理解して、継続したSDGsの取り組みを行おう
MDGsとは、「ミレニアム開発目標」の略で、2000年の国連サミットで採択された目標です。
2015年を達成目標に取り組みが行われ、極端な貧困を減らすことなど、いくつかの目標は達成されましたが、達成されていない目標など課題も残りました。
そこで、国連はMDGsを引き継ぐ形で、2015年にSDGs「持続可能な開発目標」を採択しています。
SDGsは、MDGsの課題を引き継ぐだけでなく、先進国にも取り組みの範囲を広げ、誰も取り残さないことを掲げています。
今後SDGsに取り組むことは、世界のすべての人びとにとって重要な課題を解決することにつながります。
継続してSDGsの取り組みを進めて行きましょう。
アースコムでは、SDGs目標達成に向けて、太陽光発電投資・環境事業投資をサポートしています。