2023.09.10

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)やSPTsの意味を解説!

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こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。

 

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)とは、企業が環境問題や社会問題を解決する取り組みを行う際、資金調達するためのローンです。

 

近年、各企業は社会的責任(CSR)を求められることから、このサステナビリティ・リンク・ローンを積極的に使うようになっています。

 

今回は、このサステナビリティ・リンク・ローンについて、その仕組みや取り組み目標である「SPTs」についても解説します。

 

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)、SPTsとは?

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)とは、企業が環境問題や社会課題などの取り組みを行う際、資金調達に使われるローンのことを指します。

 

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの視点は、「ESG」と呼ばれ、企業が長期的に成長を目指すためには、重視していかなければならない取り組みです。

 

また、投資家もこのESGに積極的に取り組む企業が、長期的に価値が高まると考えて投資を行うようになっています。

 

このようなことから、ESGに積極的に取り組む企業が、サステナビリティ・リンク・ローンを利用するようになっているのです。

 

サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)とは

サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)は、融資先の企業の達成状況をはかる取り組み目標です。

 

サステナビリティ・リンク・ローンを使うに当たって、ローンの貸し手は、SPTsを設定し、SPTsの達成状況に応じて、借り手にインセンティブを与えます。

 

SPTsは、ESGの取り組みと連動した目標が設定されており、貸し手は年1回程度SPTsの達成状況に応じて融資条件の見直しを行います。

 

主なSPTsの内容は?

SPTsは、ESGと連動した目標設定がされることが多く、具体例としては以下の内容があげられます。

  • 生産・製造サイクルにおける温室効果ガスの削減
  • 再生可能エネルギーの生産または利用
  • 水の消費量の削減、水のリサイクル率の改善
  • 持続可能な原材料・供給品の増加
  • 天然資源投入量の増加、廃棄物処理におけるリサイクル率
  • ESG格付の改善・ESG認証の達成

 

環境や社会問題に配慮した債権のサステナビリティリンクボンドについては、こちらのコラムで詳しく解説しています。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

サステナビリティリンクボンドとは?メリットや事例についても解説

 

 

サステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)を解説

ESG

サステナビリティ・リンク・ローンは、サステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)をもとに設計されています。

 

SLLPは、主要な金融機関の代表から構成される作業部会によって2019年に策定されました。

 

現在は、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)、アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション(APLMA)、ローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション(LSTA)が発行元となっています。

 

サステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)の5つの要素

SLLPは、以下の5つの核となる要素から構成されています。

  1. 重要業績評価指標(KPI)の選定
  2. サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)の測定
  3. ローンの特性
  4. レポーティング
  5. 検証

 

それぞれ見ていきましょう。

 

1.重要業績評価指標(KPI)の選定

SPTsの達成状況を測定するため、数値化して評価できる指標をKPIといいます。

サステナビリティ・リンク・ローンの信頼性はKPIの選定が非常に重要です。

 

2.サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)の測定

SPTsは、真摯かつ誠実に設定されてなければならず、発行体はSPTsの達成に重要な影響を及ぼし得る戦略的な情報を開示すべきとされています。

 

ESG戦略に合致した目標であり、成り行きの軌跡を超えるように設定することなどもSPTsには求められています。

 

3.ローンの特性

設定されたSPTsが達成されたかどうかによって、貸付条件が変わる設定になっている必要があります。

 

4.レポーティング

借り手は、SPTsのパフォーマンスをモニタリングし、少なくとも年1回は、SPTsの達成状況を貸し手に提供することが求められます。

 

5.検証

借り手は、各KPIのSPTsに対するパフォーマンスレベルについて、独立した外部検証を少なくとも年1回は受けなければなりません。

 

 

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)の特徴

サステナブルファイナンス

サステナビリティ・リンク・ローンの定義や仕組みを紹介してきましたが、ここからはサステナビリティ・リンク・ローンのメリットやデメリットについて確認していきます。

 

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)のメリット

サステナビリティ・リンク・ローンのメリットとしては、次のような点があげられます。

  • 企業が積極的にESGに取り組むことができる
  • 新たなビジネスチャンスが生まれる

 

それぞれ解説していきます。

 

企業が積極的にESGに取り組むことができる

環境や社会、ガバナンスに取り組むことは、各企業に求められています。

さらに、今後長期的な企業経営を行なっていく中で、気候変動などの環境の変化も企業のリスクとなる場合があります。

 

SLLを使ったESGへの取り組みを行なっておくことで、企業のリスク回避にもつながります。

 

新たなビジネスチャンスが生まれる

サステナビリティ・リンク・ローンの使用用途は「一般事業目的」とされており、特定のプロジェクトに限定されません。

 

企業は、このローンを利用して新たなサステナビリティに関する事業を創出することもできますし、サステナビリティに関連しない事業にローンを利用することもできます。

 

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)のデメリット

  • 外部評価や目標達成の検証などに手間がかかる
  • グリーンウォッシュの拡大

 

内容は以下のようになっています。

 

外部評価や目標達成の検証などに手間がかかる

サステナビリティ・リンク・ローンは、SPTsを設定した上で、少なくても年1回は外部機関による、達成状況などの検証を受け、レポートを提出する必要があります。

 

目標設定や、達成状況の検証などに手間がかかるのが課題となっています。

 

グリーンウォッシュの拡大

グリーンウォッシュとは、環境に配慮していると見せかけて、実際は実態が伴わない企業や製品のことを指します。

 

実際は環境に対する改善効果がないものに対して、効果があるとするような事例も発生しており、これらを防止する対策も必要となっています。

 

 

ESGに取り組むために、サステナビリティ・リンク・ローンを積極的に活用しよう

現在企業にとって、環境や社会課題、ガバナンスに配慮した取り組みは避けて通れません。

 

投資家についても、ESGに積極的に取り組んでいる企業に対しては、長期的な成長が見込めると考え、積極的に投資を行なっていくようになっています。

 

企業側にとっては、資金調達が課題となりますが、今回紹介したサステナビリティ・リンク・ローンを活用することで課題解決につながります。

 

サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を達成していくなど条件はありますが、自社の取り組みがサステナビリティ・リンク・ローンに該当する場合は積極的に活用していきましょう。

 

アースコムでは、サステナビリティ実現に向けて、太陽光発電投資・環境事業投資をサポートしています。

 

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この記事を書いた人

堀口優人 マーケティング部

広報担当として、太陽光発電所の物件情報、節税や償却などの専門知識を発信。より良いサービスを提供できるよう市場調査にも注力している。

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