2023.03.10
コミュニティ投資とは?注目される理由もご紹介
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。
コミュニティ投資とは、日本ではあまり一般的に使われていない言葉ですが、米国を中心に過去から行われている投資方法です。
地域社会の問題解決を目的とした投資として、近年注目を集めています。
今回は、このコミュニティ投資について、投資内容や注目されている理由を解説していきます。
コミュニティ投資について理解を深め、今後の拡大に注目していきましょう。
目次
「コミュニティ投資」とは?
コミュニティ投資とは、地域社会の活性化や地域の問題解決を目的にした投資で、主に社会的弱者や低所得者層を対象にした投資です。
金融機関の融資を受けにくい低所得者層や地域に根ざした中小企業に対して経済的支援を行うことで、地域社会の発展や課題解決を目指します。
資金の提供方法としては、NGO団体や、銀行、信用協同組合、慈善団体などを仲介して行われることが多いですが、近年ではクラウドファンディングの普及もあり、一般の投資家も参加できる投資となっています。
「ESG投資」「インパクト投資」との関係は
世界持続可能投資連合(GSIA)が定めた、7種類のESG投資の中には、「インパクト・コミュニティ投資」が含まれています。
ESG投資は、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の観点から投資をする手法です。
近年各企業や投資家は、このESGの3つの観点が、企業の長期的な成長に欠かせない要因と考えており、世界でESG投資への注目度が高まっています。
さらに、このESG投資に含まれる「インパクト・コミュニティ投資」は地域社会や環境に対するインパクトを重視する投資と定義され、ESG投資の拡大とともに、今後広がっていく可能性が高い投資といえるでしょう。
ESG投資については、こちらのコラムでさらに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
インパクト投資についてはこちらのコラムで解説しています。
インパクト投資とは?特徴やESG投資との違いをわかりやすく解説
コミュニティ投資が注目される理由を知ろう
コミュニティ投資が注目される理由としては、そこに長期的な経済的利益を生みだす可能性があるということがあげられます。
一般的に、低所得者層や地域に根ざした中小企業は、銀行からの融資が受けにくい状況です。
融資が受けにくいからといって、それらの活動が経済発展やコミュニティ発展に寄与しないかといえば、決してそんなことはありません。
例えば、「店舗や施設を改装して集客を拡大したいが、銀行から融資が受けられない」といった事例は多くあり、経済的な損失が発生しています。
コミュニティ投資はこういった地域社会の声に対して融資を行うことで、地域社会の活性化を目指します。
地域社会が活性化すると、そこに住む人々の生活水準が上がり、長期的には新たなビジネスの増加やそれに伴う雇用の増加、人口の増加などの経済的利益を生みだすことが可能になるのです。
コミュニティ投資の世界における状況
日本ではまだあまり聞くことのないコミュニティ投資ですが、世界を見るとすでに広がりつつあります。
ESG投資額の統計を行っている世界持続可能投資連合(GSIA)の発表によると、2014年から2016年にかけて、コミュニティ投資は、1,010億ドルから2,480億ドルまで増加しています。
地域別に確認していきましょう。
英国のコミュニティ投資状況
英国では、2002年にコミュニティ投資減税、2014年には社会的投資減税を導入しています。
コミュニティ投資減税は、認定されたコミュニティ開発金融機関に投資・融資をする個人・法人の所得税および法人税を、1年あたり5%、5年間で最大25%の税額控除を受けられる制度です。
2018年11月時点では、32のコミュニティ開発金融機関が登録され、2003年から2017年までに1億4,500万英ポンド(約219億8,900万円)の投資がコミュニティ投資減税の仕組みを通して行われたと推計。
当初の計画よりも小さい規模とはなりますが、今後の認知度向上が期待されています。
このほか、近年はクラウドファンディングを利用した小規模なコミュニティ投資モデルも活発化しています。
米国のコミュニティ投資状況
米国ではかなり古くからコミュニティ投資の仕組みがありました。
1977年には、地域再生投資法(CRA:Community Reinvestment Act)という法律が制定されています。
これは、低所得者層などが多く住む地域への金融機関の融資差別をなくすことを目的として制定されたもので、地域で発生した資金はその地域に再投資して地域循環させることを、仲介となる金融機関に義務付けたものです。
1994年には、クリントン政権下で「リーグル・コミュニティ開発・規制改革法」が制定され、地域再生投資法(CRA)の運用を強化。
財務省管轄で運営される、コミュニティ開発金融機関基金(CDFIファンド)が創設されました。
CDFIファンドは、低所得コミュニティ開発のために政府の財政支出によってコミュニティ開発金融機関(CDFI)を支援するものです。
CDFIは、低所得者居住地域で、通常の銀行からの金融サービスを受けられないような地域住民や企業に対して金融サービスを行う金融機関のことで、2019年2月には、コミュニティ開発金融機関の認定を受けた金融機関は1,074機関と拡大しています。
ただし、2010年4月時点のCDFI業界の推計によると、CDFI全体の資産は全米の金融機関の総資産のうち、わずか約0.2%弱。
CDFIのほとんどは、事業規模の小さい金融機関であることがわかっています。
そのため、CDFIファンドによって、CDFIの活動を支援。
CDFIへの投融資もコミュニティ再投資の一部として評価されており、大手銀行などのコミュニティ投資が活発化することにつながっています。
コミュニティ投資の日本における状況は?今後の動向も確認!
日本国内では、コミュニティ投資についてまだ一般的に普及している状況ではありませんが、ESG投資が拡大している中で、その中に含まれる「コミュニティ・インパクト投資」は今後注目されていくと考えられます。
ESG投資については、日本の公的年金基金であるGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)がESGへの投資を開始したことで注目度が上がっている状況であり、ESG投資の拡大とともに、コミュニティ投資も注目されるでしょう。
日本国内でのコミュニティ投資の具体例としては、2019年度から始まった「休眠預金等活用法」(民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律)を利用した投資があげられます。
休眠預金等活用法は、一定期間以上取引のない預金などを社会課題の解決や民間公益活動の促進のために使う制度ですが、その資金の一部がコミュニティ投資に活用されるようになりました。
また、環境省が2020年に発表した「ESG地域金融実践ガイド」の中では、地域社会の中でESG要素を考慮して発掘・支援することが、地域経済成長の鍵と述べられています。
地域の金融機関が、ESGの考え方をもとに投資を行っていくことは今後の大きなビジネスチャンスと捉えられているのです。
こうしたことから、日本国内でも地域に注目したコミュニティ投資は今後拡大していくことが期待できます。
今後期待できるコミュニティ投資にいち早く注目しよう
ESG投資の7種の投資方法の1つ「インパクト・コミュニティ投資」。
近年、企業経営において、ESG投資は、企業が長期的に成長する上で欠かせない要素であるといった認識が高まっています。
その中に含まれるコミュニティ投資についても、同時に注目が高まっていくと考えられます。
特に、コミュニティ投資は、地域社会の中で今まで投資ができていなかった、中小の事業や、低所得者層にも投資を行っていく手法です。
世界的には、コミュニティ投資を拡大していくための基金も成立しており、政府が後押ししていく投資なので、今後拡大していく可能性が高い投資方法といえます。
まだ拡大していない日本では、新たなビジネスチャンスとして注目しておくべき投資対象となるでしょう。
アースコムでは、太陽光発電投資・環境事業投資でESG投資・コミュニティ投資をサポートしています。
お気軽にご相談ください!