2022.10.14
ESG投資の動向と課題点は?普及している理由とは
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの石井です。
投資をする際、利益を出すのはもちろんですが、できれば環境に配慮した地球に優しい企業を応援したいですよね。
そんな機運の高まりから、近年投資家の間で拡大しているESG投資。
今回は、ESG投資の意味や拡大している要因、課題について深堀りしていきます。
ESG投資とは?手法についても解説
そもそもESG投資とはどんな投資なのでしょうか。
ESG投資における7つの手法についても解説していきます。
ESG投資とは何?
ESGは、Environmennt(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の、3つの単語の頭文字からなる言葉。
ESG投資とは、以下の3つの観点から投資先の企業を評価していく投資方法です。
環境
二酸化炭素の排出量の削減や再生可能エネルギーの使用など、環境問題に対して企業がどのような取り組みをしているかが注目されます
社会
ハラスメントの防止、男女の平等、多様性を認めるなどの人権問題に対する取り組みや地域貢献などがあげられます
ガバナンス
健全な企業経営、内部統制の構築、積極的な情報開示など収益をあげながら、不正が行われないような企業統治が求められます
これらは各企業が長期的に成長するためには欠かせない要素としての認識が高まっており、ESG投資では、そうした取り組みをする企業を選別して投資を行います。
ESG投資の7つの手法
世界のESG投資額を集計している国際団体GSIA(Global Sustainable Investment Alliance)は、ESG投資を以下の7つに分類しています。
- ネガティブスクリーニング
- ポジティブスクリーニング
- ESGインテグレーション
- 国際規範スクリーニング
- サステナビリティ・テーマ投資
- インパクト・コミュニティ投資
- 企業エンゲージメント(エンゲージメント・議決権行使)
それぞれの特徴を紹介します。
ネガティブスクリーニング
武器、ギャンブル、タバコ、アルコールなど環境へ悪影響がある、または倫理的ではないと考えられる特定の企業を投資先から外す手法のこと。
ポジティブスクリーニング
人権などの社会問題や環境問題で同業種の中でも評価の高い企業に投資をする手法のこと。労働環境やダイバーシティなどへの対応がされていることも評価されます。
ESGインテグレーション
インテグレーションは「統合」を表し、投資先選定の際、従来使われてきた財務情報だけでなく、ESGの観点からみた非財務情報も考慮に入れて分析する手法です。
国際規範スクリーニング
ESGに関わる分野で国際基準に合わせ、その基準を満たしていない企業を投資先から外す手法。
国際基準としては、「国連グローバル・コンパクト」などがあげられます。
サステナビリティ・テーマ投資
サスティナビリティー(持続可能性)を重視した企業への投資。
SDGsとの関連性も高く、特に再生可能エネルギーや持続可能な農業などに関して投資する手法です。
インパクト・コミュニティ投資
環境や社会に貢献する技術やサービスを提供する企業に対して行う投資。
社会や環境に対して良い影響(ポジティブ・インパクト)をもたらしているかを重視します。
企業エンゲージメント(エンゲージメント・議決権行使)
株主として企業に対してESGに関する取組みを積極的に働きかける手法。
企業に対して議決権を行使したり、エンゲージメント(関係構築)を求めていきます。
ESG投資の種類については「ESG投資とは?種類やメリット、現状まで詳しく解説!」でも解説しています。
ESG投資の動向や普及の要因や課題点とは
2006年〜2014年にかけては、日本におけるESG投資への投資割合が非常に少なく、ESG投資が日本で急拡大したのは2016年〜2018年にかけてと最近です。
2016年〜2018年の間ではESG投資の割合が約15%もアップしており、世界でも類を見ない増加傾向にあります。
近年は積極的にESG投資の情報を投資家へ開示していく企業も増えているため、ますます増加が見込まれるでしょう。
2022年はESG情報の開示強化など、ESG投資への取り組みが今まで以上に重視されています。
ESG投資の動向については「ESG投資の日本の現状とは?世界との違いや今後にも注目!」でも詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ESG投資が普及した要因とは
国内でこのESG投資が普及した要因の一つとしては、2015年9月に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、国連の提唱する責任投資原則(PRI)に署名したことがあげられます。
責任投資原則(PRI)とは、国連環境計画と金融イニシアティブ(UNEP FI)と国連グローバル・コンパクトと提携した投資家イニシアティブのこと。
投資家に対して投資決定の際、このESGの考え方を組み込むことを求めています。
これを機に認知度が高まり、多くの投資家がESG投資を意識するようになりました。
また、ESG投資に海外の投資家が注目し、人気が高まったことも要因の一つです。
海外の企業や投資家は日本企業への関心が高く、ESG活動に力を入れている企業に投資を行う傾向にあるため、日本でも普及し始めたというのがあるようです。
ESG投資の課題点
環境に配慮した企業に投資するESG投資は、一見うまく広がっているように見えますが課題も多くある状況です。
大きな課題として以下の3点があげられます。
- 企業の情報開示が十分でない・基準が統一されていない
- ESGの評価基準が確立されていない
- 中小企業や地方の企業は効果を上げるのが難しい
1.企業の情報開示が十分でない・基準が統一されていない
日本では、同業の他社同士で出方を見てから有利な情報開示をしたいという面がまだ強く、ESG投資に関する企業情報開示が十分でないといわれています。
また、企業のESGに対する取り組みの情報開示については、複数の情報開示基準が混在している状況で、情報開示に統一感がないという点が課題になっています。
現在使われている主な情報開示基準としては、次の4つがあげられます。
- GRIスタンダード
- SASBスタンダード
- 国際統合報告フレームワーク
- TCFD提言
ESG情報を開示する企業は開示基準の違いを理解した上で、どれを基準にするか選択する必要があります。
企業によって基準が異なるため、投資家は情報を投資の判断材料にするのが難しいというのが問題点です。
現在、ESGで取り組むべき重要課題として注目される気候変動に関して、この中のTCFD提言を基本とし、より具体的な開示基準が策定されることが見込まれています。
※TCFDとは、気候変動の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された「気候関連財務情報開示タスクホース」のこと
ESG情報の開示も強化されている中、今後ESG投資に対する情報開示基準が統一されていくことは期待できるでしょう。
2.ESGの評価基準が確立されていない
ESGについては、まだ歴史が浅く、そもそもの定義や評価基準が明確でないことが問題となっています。
標準的な評価基準が策定されていないため、多くのESG評価機関が独自算定基準を用いて評価をするため、同一の企業でも評価が異なる場合も散見されています。
今後評価の標準化が進んでいくことは予想されますが、現状は投資家が慎重に評価を精査する必要があります。
3.中小企業や地方の企業は効果を上げるのが難しい
ESGは短期的に大きな利益を上げるのが難しい投資です。
自己資本が少ない中小企業や地方の企業では、環境負荷の低い設備を整備することが大きな負担になります。
融資を受けなければ実現が難しいといえるため、ESG投資はリスクが高く、効果を上げるのが現状では厳しいといえます。
この課題を解決するためには、地方自治体など公的機関が積極的に関与していくなどの対策が必要でしょう。
ESG投資のSDGsとのつながりとは
このESG投資の拡大の背景には、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」による影響も大きいといえます。
日本でもESGに配慮した経営をすることでSDGsにも貢献でき、結果として企業が継続的に成長できると考える企業が増えており、SDGs活動に力を入れている会社が増加傾向にあります。
労働問題や環境問題などはESG投資で非常に重要な課題ですが、同時にSDGsの目標とも多くの共通点があります。
ESGは、企業の投資に特化した取り組み内容ですが、積極的に取組むことでSDGsの目標でもある持続的な社会が実現されていくことにもなります。
ESGとSDGsの違いについては「ESGとSDGsの違いとは?CSRとの関係性も詳しく解説」こちらの記事でも詳しく解説しています。
ESG投資は課題もあるが今後のさらなる拡大が期待
現在、拡大しているESG投資。
SDGsなど私たちに求められている環境への配慮などを考えると、これからも拡大していくことは間違いないようです。
ESG投資については、まだ歴史が浅いこともあり企業側の情報開示の基準が統一されてなかったり、評価機関の評価基準も独自であったりと課題もまだまだ多い状況です。
これからも、社会全体として環境問題や労働問題は避けて通れない重要なテーマとなっていきます。
それに伴い、今後拡大していくであろうESG投資について、今後もますます目が離せないでしょう。
アースコムでは再生可能エネルギーの活用を通じ、環境や社会に優しく、事業としても収益を上げていく、ESGの考え方を取り入れた太陽光発電投資・環境事業投資をサポートいたします。
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