2023.04.15
インパクト投資の現状と課題は?今後の動向も解説
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。
投資には、リスクとリターンがつきものですが、これにプラスして「インパクト」という軸を追加した投資を「インパクト投資」といいます。
インパクトとは、財政的なリターンだけでなく社会的な課題を解決し、持続可能な社会的または環境的にインパクトのある変化をもたらすことを意味している言葉です。
今回は、インパクト投資について、現状や今後の課題についてもお伝えします。
目次
インパクト投資の現状
インパクト投資は、社会的または環境的なインパクトを生みだす企業や取り組みへの投資のことを指しますが、近年、SDGsなどの環境意識の高まりから注目度が上がっています。
世界のインパクト投資の市場規模は、世界的なインパクト投資の標準化を進めるネットワークであるGIIN(Global Inpact Investing Network)の2022年の発表によると、1兆1,640億ドル(約173兆円)に達しています。
日本国内においては、2021年の調査で1兆3,204億円あることがわかっていますが、これは2020年に対して2.5倍に拡大しています。
世界の規模に対しては少ないといえますが、日本国内でもインパクト投資に対する認知が高まっており、2021年に大きく増えた要因については、大手の都市銀行や運用機関が新規参入したことが考えられます。
ESG投資の拡大もインパクト投資拡大の要因
社会や環境へ配慮した投資という意味では、ESG投資も同様の投資方法です。
ESG投資は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Govironance)の頭文字をとった投資方法で、環境や社会的な課題に対して取り組みを行っている企業に対して投資をする方法です。
ESG投資は、2006年に国連で「責任投資原則(PRI)」が採択され、投資家がESGの観点から投資先を選ぶことが推奨されていることや、日本国内では、公共年金基金のGPIFがESG投資を採用することになったことから拡大しています。
インパクト投資はESG投資の一部でもあることから、ESG投資の拡大とともに拡大しているのです。
多くの投資家にとっては、今後拡大していくESG投資やインパクト投資への投資拡大が重要となっていくと考えられています。
インパクト投資については、こちらのコラムでさらに詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。
インパクト投資のメリット・デメリットとは?事例もあわせて解説
インパクト投資の課題とは?
現在注目度が高く、市場規模が拡大しているインパクト投資において、どのような課題があるのでしょうか?
さらにインパクト投資を拡大させていくためには、次のような課題を解決していく必要があります。
- 認知度の低さ
- 評価基準の不透明さ
- プレーヤーの不足
それぞれの課題について解説します。
認知度の低さ
日本でのインパクト投資の規模が拡大しているといっても、世界から見ればまだ規模は小さい状況です。
これは、日本国内におけるインパクト投資の認知度がまだまだ低いことが原因としてあげられます。
日本国内でインパクト投資に関する提言書や現状を記した報告書の発行や、インパクト投資の推進を行っているSIIF(社会改革推進財団)が2021年に実施した、インパクト投資に関する一般消費者調査では、インパクト投資に関する認知度は6.6%と低い状況となっています。
評価基準の不透明さ
インパクト投資はまだ始まったばかりであり、これからの拡大が期待される投資方法です。
現状では、インパクト投資に対する評価の手法が十分に確立されているといえる状況ではありません。
インパクト投資を推進するグローバルなネットワーク組織であるGSGの日本支部であるGSG国内諮問委員会が2021年に発表した「日本におけるインパクト投資の現状と課題」の中で、インパクト投資を増やす上での課題として一番多かった意見は、インパクト測定・マネジメントのアプローチが断片的で体系化されていないという項目でした。
プレーヤーの不足
SDGsへの取り組みが拡大している中で、それと共通する考え方を投資に活用している、ESG投資の拡大とともに、インパクト投資も拡大しています。
しかしながら、特に日本国内では、インパクト投資で経済的リターンが得られるといった認識が低く、取り組みに対してまだ積極的になっていないといった状況も見られます。
インパクト投資に対して積極的な企業は一部大手企業などに限られ、インパクト投資の認知度が低いことや、環境への取り組みは意識しながらも、インパクト投資とは結びつけて考えられないことなども、インパクト投資が普及しない原因と考えられます。
インパクト投資の拡大のために必要な取り組み
今後の地球環境のことを考えると、各企業が環境や社会への取り組みを意識した経済活動を行っていくことが非常に重要となります。
そのためには、インパクト投資への積極的な取り組みが必要でしょう。
2019年6月に実施されたG20大阪サミットでは、当時の安倍総理がスピーチの中で、「地球的規模課題の解決に必要な資金確保のため、インパクト投資や、休眠預金を含む多様で革新的な資金調達の在り方を検討し、国際的議論の先頭に立つ考えです」と述べています。
このようなことからも、今後のインパクト投資拡大が広がっていくと考えられます。
インパクト投資実現に必要な8つの取り組みとは
GSG国内諮問会議はレポートの中で、インパクト投資のエコシステム実現に必要な8つの取組みとして以下の内容を発表しています。
- 投資に対するリテラシーの向上
- 金融商品や資金供給チャネルの充実
- 投資家への情報提供の充実・投資家の行動変容の促進
- 事業者の成長の機会づくりとそれを支える組織・機関の充実
- インパクト評価の手法の確立・普及
- インパクト投資の概念的整理の充実、クオリティの維持
- 社会実装と普及に向けた枠組み作り
- 多様な担い手の繋がり強化とコミュニティ形成の促進
以上のような取り組みが今後拡大することで、さらなるインパクト投資の拡大が期待できるでしょう。
インパクト投資の現状や課題を踏まえ、投資対象へ拡大を
継続的な社会や環境へのインパクトを求めるインパクト投資は、SDGsやESG投資への意識の高まりから拡大しています。
日本国内でも2020年に対して2021年は市場規模が2.5倍に拡大しており、今後もさらなる拡大が期待できるでしょう。
しかしながら、インパクト投資を拡大するためには、認知度の拡大や評価基準の選定、インパクト投資に取り組む企業などプレーヤーの不足といった課題を解決していかなければなりません。
継続してインパクト投資に対する情報をとりながら、今後拡大していく投資対象へ投資を行っていくことが重要となります。
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