2023.05.12
上場株式のインパクト投資とは?現状や特徴について解説
こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。
インパクト投資とは、投資に対するリスクとリターンの他に、社会や環境に対してポジティブなインパクトを与える投資を評価する投資手法です。
投資家が投資先を選定する際に、社会や環境に対する貢献についても評価するようになっていることから、近年このインパクト投資に注目が集まっています。
また、当初は非上場企業のインパクト投資が主流だったものが、現在は注目度の高まりから上場企業についてもインパクト投資が広がっています。
今回は、このインパクト投資について、上場株式のインパクト投資の特徴や、非上場株式との違いなどについても解説していきます。
目次
上場株式のインパクト投資とは?メリットも知ろう
インパクト投資とは、社会や環境に対してポジティブなインパクトを与える取り組みを行なっている企業に対して、投資を行う手法です。
インパクト投資が上場株式にも広がっている理由やメリットについて解説していきます。
上場株式のインパクト投資とは
インパクト投資は、2007年にロックフェラー財団が主導して開催された国際会議で、初めて「インパクト投資」という用語が使われました。
それ以前に欧米では、1920年代に社会的責任投資(SRI)といわれる、キリスト教会が酒・たばこ・ギャンブルなどに関わる企業への投資を除外した投資が始まっています。
このSRIは、環境問題や消費者保護などの投資に拡大し、2006年には、責任投資原則(PRI)が国連により提唱されたため市場が急速に拡大しています。
さらに、2015年国連の持続可能な開発サミットで採択されたSDGsの影響から、社会や環境に対する注目度が拡大するなかで、上場株式もインパクト投資を行うファンドに組み入れられるようになってきているのです。
上場株式におけるインパクト投資のメリットは
上場株式がインパクト投資において拡大している背景には、どのようなものがあるのでしょうか?
上場株式は非上場株式に対して、インパクト投資において多くのメリットがあります。
いくつかのメリットを紹介します。
インパクトの大きさ
上場株式は、その規模の大きさから、地球環境において大きなインパクトが見込まれます。
上場企業がもつ経済活動の規模の大きさや、バリューチェーンの広がりなどから、多くのポジティブなインパクトを環境へ与えられる可能性があります。
流動性の高さ
上場株式は、その発行数などから流動性が高く、多くの投資家にとって売買がしやすいといったメリットもあります。
非上場株式では、買い手が見つからないなどの流動性の面からのデメリットが考えられます。
それに対して、上場株式では、その流動性の高さから少額からの投資が可能であったり、ある程度まとまった規模の投資でも売買が可能といったメリットがあるのです。
インパクト投資の概要については、こちらのコラムでも詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
インパクト投資と似ているといわれるESG投資との比較については、こちらのコラムをご参考ください。
インパクト投資とは?特徴やESG投資との違いをわかりやすく解説
上場株式インパクト投資と非上場株式インパクト投資の比較
上場株式のメリットについて解説してきましたが、その他、上場株式と非上場株式との違いや共通点についても確認していきます。
インパクト投資における上場株式と非上場株式の共通点
上場株式も非上場株式も、インパクト投資を行う株式を集めてファンドを作り、個人投資家や機関投資家から資金を集めて投資する部分は共通です。
取扱先は、上場株式の場合アセットマネジメント会社となりますが、非上場株式の場合、プライベート・エクイティやベンチャーキャピタルとなるといった違いはあるものの
社会や環境に対するアクティブなインパクトを与えるという点では共通しているといえるでしょう。
インパクト投資における上場株式と非上場株式の相違点
相違点としては、ファンドを形成する際組み込む投資先の審査の方法や、進捗管理があげられます。
組み込む投資先の審査
上場企業の場合、さまざまな事業を行なっているため、どの事業がインパクト投資に関連があり、どの事業がインパクト投資と全く関係がないかなど確認する必要があります。
この場合、インパクト投資に関連する事業の売上高の割合から判断する場合や、将来の事業戦略や成長戦略から判断していきます。
インパクト投資に対する進捗管理
インパクト投資の場合、投資先がインパクトを創出しているか進捗を管理する必要があります。
これは、非上場企業でも同様に、インパクト投資に対するKPIを設定し、そのKPIに基づいて進捗を確認していきます。
上場企業の場合、インサイダー取引防止や各種規制があるため、企業から個別に情報提供を受けるのではなく、公表資料で確認できない場合は、第三者機関からのデータを活用することがあります。
上場株式のインパクト投資の4つの特徴
上場株式のインパクト投資において、確認すべき4つの特徴があります。
それぞれ解説していきます。
ファンドのインパクトテーマ設定
上場株式のインパクト投資を行うファンドを設定する際には、そのファンドごとのテーマを決める必要があります。
そのファンドがどのような社会課題や環境問題に対してインパクトを与えるのか、解決したい社会課題はなにか、などからテーマを設定します。
投資先選考プロセス
設定したテーマをもとに、ファンドに組み込む投資先を選定していきます。
投資先の審査の部分でも解説しましたが、多岐に渡る取り組みを行なっている大企業の場合、インパクト投資に関連していない事業がある投資先を組み込むがどうかなど、投資先選定について、ファンドごとに考え方を決めることが大切です。
エンゲージメント手法
エンゲージメントとは、投資の中では、投資家との対話を意味します。
インパクト投資の場合、リターンだけでなく環境や社会問題の解決に対してのテーマに基づいた取り組み内容について投資家とのディスカッションや、投資家に対する具体的な説明が求められます。
インパクト測定・マネジメント
ファンドがインパクト投資において、その進捗を管理する場合、インパクト測定やマネジメントが重要となります。
まずは定期的にモニターすべきKPIの設定を行い、将来達成するための定量的な目標値を設定していきます。
続いて、KPIや目標設定を基に、年間もしくは四半期ごとに投資先の社会的または環境におけるインパクトを測定します。
測定においては、第三者データ機関やESG格付け機関などから得られる情報も活用します。
上場株式のインパクト投資にも積極的に投資していこう!
インパクト投資は、欧米では長い歴史がありますが、大きく広がってきたのは2000年に入ってから。
国連で責任投資原則が提唱されたり、SDGsについて注目が集まってきたりしたためです。
さらに当初は、非上場企業などが中心となって組まれていたファンドも、より大きな社会的な課題や環境問題に対応するため、大企業などの上場企業についても積極的に対応するようになりました。
各ファンドは、求められる成果について個人投資家や機関投資家に対して、具体的な進捗を報告する必要があり、大きなインパクトを残す必要があります。
今後、社会課題や環境問題に対する関心はより高まっていくため、この上場株式のインパクト投資に積極的に参加することで、より良い社会にするための投資を行なっていくことができるでしょう。
アースコムでは、環境や社会に優しく、事業としても収益を上げていく、太陽光発電投資・環境事業投資をサポートしています。
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