2021.06.12

海外不動産投資の節税封じの影響は?規制内容から対策を

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こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。

 

高額納税者である富裕層の方々の節税対策として人気だった海外不動産投資。

海外不動産投資は減価償却を利用した節税スキームで、日本とは異なる海外ならではの住宅事情によって成立していました。

 

しかし、現在は日本の税制改正によって、海外不動産投資の節税メリットを享受することができないというショックな状況に陥っています。

 

今回はまず海外不動産投資の節税スキームについてお話をし、税制改正によって節税メリットはどのように変化したのかや、今後の対策について解説します。

 

 

海外不動産投資による節税スキームとはどんなもの?

海外不動産投資による節税では、海外の不動産を購入し、家賃収入を得つつ、自分の見かけ上の年収を減らして所得税や住民税を減らすことができます。

 

海外不動産投資の節税スキームは「海外の不動産を購入して、建物にかかる費用を減価償却し、赤字分を日本での年収を合算(損益通算)して課税所得額を減らす」というものです。

 

この節税スキームが成り立つための主な条件として「減価償却によって出た赤字を日本の年収と合算できる」ことと「海外では中古住宅の資産価値が落ちにくい」ということが挙げられます。

 

減価償却とは、価値が落ちていく建物などの資産において、かかった費用を法定耐用年数で割って毎年経費として計上することを言います。

 

日本の木造住宅の法定耐用年数は22年。

この数字は海外の木造建築でもそのまま適用されます。

 

そして、法定耐用年数である22年を経過した建物については「簡便法」を用いて減価償却費を計算します。

簡便法では法定耐用年数の20%を耐用年数とすることができ、築30年の木造住宅は22年×20%=4.4で、小数点以下を切り捨て、減価償却期間は4年となります。

 

例えば、住宅の値段が4,000万円のとき、減価償却費は1,000万円×4年です。

年間の家賃収入が300万円あったと仮定すると、1,000万円-300万円=700万円の赤字となり、日本での年収が仮に2,000万円あった場合、赤字と合算することができるので、課税所得額は2,000万円-700万円=1,300万円となります。

課税所得額を大きく減らすことができ、大きな節税メリットがあることがわかります。

 

この節税スキームが成立する条件として、日本では中古住宅の資産価値が低いのに対し、海外では築22年以上の木造建築物でも高い資産価値があることが挙げられます。

 

海外において資産価値が落ちにくい理由としては、「地震が発生しにくいエリアでは建物が傷みにくい」「DIYやリノベーション文化が根付いている」「新築物件の供給数が少ない」「人口が増加している」といったものがあります。

日本は国土面積が狭いため建物よりも土地の資産価値の方が高くなりがちですが、海外では築100年以上の建物が高い資産価値を維持していることも少なくありません。

 

海外不動産投資は減価償却によって節税につながるだけでなく、中古住宅でも借り手が付きやすく確実な家賃収入が期待でき、売却時にも値が下がりにくいといった点で、富裕層に人気の投資法となりました。

 

海外不動産投資を使った節税が税制改正で禁止に!その内容とは?

口に手をあてる男性

節税対策として注目を集めていた海外不動産投資ですが、2020年(令和2年)の税制改正において「国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例」が制定され、個人が所有している海外の中古建物を減価償却して発生した損失を損益通算できないことになりました。

 

税制改正が行われた背景としては、日本の富裕層がこぞって海外不動産投資を始めてしまうと日本の税収が増えないことや、日本と海外で資産価値の異なる中古住宅を一律に日本の法定耐用年数で計算をするのに矛盾が生じていることが挙げられます。

 

そもそも減価償却とは、毎年資産価値が劣化するものが対象となります。

日本では不動産の場合、建物は減価償却の対象ですが、土地は減価償却の対象ではありません。

海外では築年数が古い木造住宅でも資産価値が落ちにくいという特徴があるため、日本と海外とでは異なる資産価値を持つものを、同じ定規で計っていたことが問題視されたのです。

 

この税制改正により、節税を目的として海外不動産投資を行っている方は方向転換を迫られることとなりました。

 

ただし、あわせて税制改正の中で「海外不動産所有時の減価償却費計上を認めないものの、物件売却時の譲渡所得税および住民税は、日本国内の不動産投資よりも税負担を軽減する」ことも明記されています。

 

 

海外不動産投資の節税規制でどう対策していく?

海外不動産投資の節税メリットが薄くなってしまった今、今後はどのような対策をとるべきなのでしょうか。

 

対策として考えられるのが「不動産投資のメリット享受を最大限に生かす」ということです。

 

減価償却による節税メリットほど大きくはないものの、海外不動産投資は魅力がある投資法です。

 

先に述べた通り、海外では中古物件も借り手が付きやすく、よほどエリアを失敗しなければ確実に家賃収入を得ることができます。

 

人口増加地域では住宅需要が高いことから、売却時の方が高値で売れることも珍しくありません。

そのため、税制改正があったからといって急いで売却する必要はないでしょう。

 

本来の不動産投資のメリットをしっかり受け取るというスタンスで、物件を保有するという手段もあります。

 

また、減価償却を使っての節税対策には、他にもオペレーティングリース太陽光発電投資といった方法があるため、検討してみるのもひとつの手でしょう。

 

オペレーティングリースはリース会社が設備を購入し、それをリース期間に応じて賃貸すること。

ただし昨今の新型ウイルスにより、航空機や船舶などのリースなど一部においては打撃を受けている方も多いようです。

その点、太陽光発電投資は太陽光さえあれば発電できるため、感染症や経済の影響を受けにくく、比較的低リスクで長期間安定した投資ができるのが特徴です。

 

節税対策では、出口戦略も必要です。

海外不動産投資では、減価償却によって大幅な節税ができることが魅力的でしたが、売却すれば譲渡所得や住民税がかかります。

自分が求める節税のスタイルについて考えることも大切です。

 

 

海外不動産投資は節税から本来の投資へとシフトする方向へ

海外不動産投資は、海外の築22年以上の木造住宅など、短期間で大きな減価償却費を上げられる不動産を購入し、家賃収入を得つつ日本の年収と減価償却で発生した赤字を合算して見かけ上の収入を減らすことで所得税や住民税を抑える節税スキームです。

 

日本は累進課税制度が適用されるため、所得の高い富裕層に人気の投資法でした。

 

しかし、日本の住宅における減価償却の基準を、築年数が経っていても資産価値が高い海外の住宅にも当てはめることは、実態に即していないとの問題などがあり、2020年の税制改正で海外不動産投資で発生した赤字を損益通算することができなくなりました。

 

税制改正により大きな節税メリットは得られなくなりましたが、海外の不動産は需要が高いため、本来の投資という意味ではまだ魅力がある分野です。

 

投資では出口戦略も重要!

減価償却によって節税対策をしたいという方は、太陽光発電投資もおすすめです。

 

太陽光発電投資は、個人・法人の節税対策としても有効です!

福島をはじめ各地に太陽光発電所を保有しているアースコムへお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

堀口優人 マーケティング部

広報担当として、太陽光発電所の物件情報、節税や償却などの専門知識を発信。より良いサービスを提供できるよう市場調査にも注力している。

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