2023.02.15

インボイス制度は太陽光発電投資にどう影響する?対応策も解説!

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こんにちは。太陽光発電投資をサポートするアースコムの堀口です。

2023年から適用される「インボイス制度」、税法上は「適格請求書保存方式」と呼ばれます。

インボイス制度が適用されると、税制上のしくみが大きく変わる可能性があるのです。

今回はインボイス制度の概要や、インボイス制度が太陽光発電投資に与える影響、インボイス制度に対応する方法などについて解説します。

テーブルに置かれたお金と税金のイメージ

 

 

インボイス制度とは?消費税納付の仕組みから詳しく解説!

インボイス制度は正式名称を「適格請求書保存方式」といい、取引の正確な消費税額の把握を目的としています。

(2023(令和5)年10月1日施行)

 

現状では免税事業者は消費税の納付義務がないため、国に納付すべき消費税を納めていないケースもあります。

インボイス制度によって、これまで免税事業者が納めずに済んでいた消費税を、確実に国が回収することができるようになります。

 

インボイスとは一種の領収書または請求書のようなもので、課税事業者のみが発行できます。

インボイス制度が導入されると、免税事業者がデメリットを回避するために課税事業者にならざるを得ないことも想定されます。

 

少々複雑な仕組みですが、1つずつ詳しく解説していくのでご安心ください。

 

消費税納付の仕組み

インボイス制度を理解するために、まずは消費税の納付のしくみについてお話していきましょう。

 

商品の流通には「仕入れ業者 → 販売者 → 消費者」という流れがあります。

販売者が100円の商品を仕入れて、200円で消費者に売りたいとき、税率10%のときには消費税が以下のように発生します。

  • 消費者:200円の消費税20円を一緒に販売者に支払う(220円の支払い)
  • 販売者:100円で仕入れたときに消費税10円を一緒に仕入れ業者に支払う(110円の支払い)

 

仕入れ業者には「課税事業者」と「免税事業者」という2つのパターンがあります。

  • 課税事業者:課税売上高が1,000万円以上の事業者で、消費税納付の義務がある仕入れ業者のこと。
  • 免税事業者:課税売上高が1,000万円以下の事業者で、消費税納付の義務がない仕入れ業者のこと。

 

課税事業者のメリットは「消費税還付」が受けられることです。

受け取った消費税額よりも、支払った消費税額の方が大きい場合に、還付金を受け取ることができます。

消費税還付については「太陽光発電投資の消費税還付とは?メリットや判断基準をご紹介!」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

仕入れ業者が「課税事業者」の場合、仕入れ業者は国に対して販売者から預かっている消費税10円を代わりに納付します。

 

ただし、仕入れ業者が「免税事業者」の場合は、消費税の納付義務がなくなるため、消費税10円は納める必要がなく、現行の制度では仕入れ業者の儲けにして良いことになっています。

この儲けは「益税」と呼ばれます。

 

では、販売業者が代わりに20円を納めないといけないのか?というとそうではありません。

「仕入れ業者は消費税を納めたもの」とみなし、受け取った消費税20円から差し引いて納税できることになっています。

つまり、本来は国に20円の消費税が納付されるはずだったのに、10円しか入りません。

 

「これでは国の税制上ちょっとマズイよね、ちゃんと納付してもらいましょう」ということで始まるのがインボイス制度です。

 

税金については「太陽光発電投資にかかる税金は?計算方法から軽減や還付まで解説」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

インボイス制度によってどう変わる?

インボイス制度が導入されると、販売者は仕入れ業者にも国にも消費税を支払う二重課税状態になるケースが発生します。

これでは、販売者は消費税の負担が増えて損ですよね。

 

二重課税されないためには、仕入れ業者から「インボイス」と呼ばれる請求書を受け取る必要があります。

インボイスを発行できるのは課税事業者のみです。

 

販売者はインボイスを発行できない免税事業者より、課税事業者と積極的に取引を行いたいということになります。

そうなると、免税事業者は取引を続けるためにも、課税事業者にならざるを得ない状態になることもあるのです。

 

ここまでの流れを、先ほどの例を使って簡単に説明します。

  • 商品代200円のとき、販売業者は消費者から消費税20円を預かる
  • 販売業者は100円で仕入れたとき、消費税10円を仕入れ業者に支払う

 

販売業者は消費税20円を納めることになりますが、仕入れ業者にも支払った消費税10円があるため、二重課税状態になります。

二重課税状態を防ぐために「仕入税額控除」というものがあり、仕入れにかかった消費税は差し引いて、納付する消費税額を計算してくれる仕組みになっています。

 

今までは、仕入れ業者が免税事業者であろうと課税事業者であろうと、仕入税額控除が適用されていました。

しかしインボイス制度が始まると、販売者は仕入れ業者からインボイスを受け取らないと、仕入税額控除ができなくなるのです。

 

インボイス制度適用後、免税事業者から仕入れるとどうなる?

インボイスが発行できない免税事業者から仕入れを行うと、販売業者は仕入税額控除ができません。

販売業者が仕入れ業者に100円+消費税10円を支払い、消費者が商品代200円+消費税20円を支払うとき、販売業者が納める消費税額が変わります。

  • 仕入れ業者が課税事業者の場合…10円
  • 仕入れ業者が免税事業者の場合…20円

インボイス制度が始まっても、免税事業者は消費税を納める必要はありません。

そのため、販売業者の消費税負担額が多くなってしまうのです。

 

 

インボイス制度が太陽光発電投資に与える影響とは?

手でバツ印を作る男性

インボイス制度の導入によって、太陽光発電投資にも影響があります。

 

太陽光発電では、サラリーマンや自営業者などが副業で発電所運営を行っているようなケースは免税事業者であることが多いです。

 

このような免税事業者にとっては、インボイス制度によって電力会社から電力を買い取ってもらえなくなる可能性があります。

もしくは、「買い取ってもらえるが、課税事業者に比べて安い買取価格になる」ということも考えられます。

現在の電力会社の買取価格は、仕入税額控除も含めた買取価格になっています。

 

なので、インボイスが発行できない免税事業者から電力を購入すると、電力会社の費用負担が大きくなってしまいます。

そのため「免税事業者からの電力買取は積極的に行われなくなる」と考えられます。

 

現状、固定価格買取(FIT)制度を利用している事業者は、20年間の売電契約があります。

そのためインボイス制度が開始されたからすぐに売電停止とはならず、なんらかの経過措置が取られるのではないかと考えられます。

太陽光発電投資に関係する税金の種類などについては「太陽光発電投資にかかる税金は?計算方法から軽減や還付まで解説」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

 

太陽光発電事業者がインボイス制度に対応する方法

インボイスを発行するためには、インボイス発行事業者として事前に登録しておく必要があります。

インボイス制度に対応する方法を、ケース別に詳しく解説していきます。

 

FIT認定事業者で「課税事業者」の場合

すでにFIT認定を受けていて課税事業者である場合は、インボイス発行事業者としての登録申請をしたうえで、電力会社などにインボイス登録番号を報告します。

 

納税地を所轄する税務署で、登録申請書を提出します。

税務署の審査に通ればインボイス発行事業者として登録され、登録番号などが記載された「登録通知書」が送付されます。

登録通知書が届いたら、電力会社などの買取義務者に報告しましょう。

 

※インボイス制度が始まる2023年10月1日までに登録を受けるためには、2023年3月31日までに登録申請をする必要があります。

※2023年10月1日以降の登録について、登録申請期日は未定です

 

FIT認定事業者で「免税事業者」の場合

基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、基本的に免税事業者となっています。

原則として消費税の納付義務が免除となり、消費税の申告や納税をする必要はありません。

 

FIT認定事業者で太陽光発電事業以外に事業をしていない場合は、インボイス登録に関して対応する必要はなく、インボイス登録がなくても買取価格が変更されることはありません。

 

ただし、他の事業も行っていてインボイスが必要となる場合は、課税事業者になる必要があります。

 

これからFIT認定を受ける予定で「課税事業者」の場合

2023年度以降に新たにFIT認定を受ける予定があり、課税事業者である場合には、インボイス発行事業者として登録しなければいけません。

 

経済産業省によると、インボイス発行事業者として登録申請を行うことがFIT認定の要件となる予定です。

あらかじめ準備しておきましょう。

 

これからFIT認定を受ける予定で「免税事業者」の場合

免税事業者であれば、今後FIT認定を受ける予定でもインボイス発行事業者としての登録は必要ありません。

 

 

インボイス制度の影響を受けるのは太陽光発電投資で免税事業者のケース

インボイス制度は、これまで免税事業者が納めずに済んでいた消費税を、確実に国が回収するための仕組みです。

インボイス制度開始後も免税事業者は消費税納付を免除されますが、インボイスを発行することはできません。

インボイスが無いと販売業者は仕入税額控除が受けられないため、免税事業者であることは仕入れ業者の選択肢から外れやすくなることが考えられます。

太陽光発電の場合、免税事業者であることで、売電買取をしてもらえなくなったり、課税事業者よりも買取価格が安くなったりするという部分が懸念点です。

 

インボイス制度開始後、税抜き売電額でのシミュレーションを考えておく必要があるかもしれませんね。

また、年間1,000万円以内に納めようとしていた場合は、長い目で見てどちらが良いかを検討しておくのも良いでしょう。

 

インボイス制度に対応するためには、課税事業者であればインボイス発行事業者としての登録申請をしたうえで、電力会社などにインボイス登録番号を報告する必要があります。

これからFIT認定を受ける予定であれば、課税事業者はインボイス発行事業者としての登録が必要です。

免税事業者の場合はインボイス登録は必要ありません。

 

アースコムでは、環境や社会に優しく、事業としても収益を上げていく、太陽光発電投資・環境事業投資をサポートしています。

ぜひお気軽にご相談ください!

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この記事を書いた人

堀口優人 マーケティング部

広報担当として、太陽光発電所の物件情報、節税や償却などの専門知識を発信。より良いサービスを提供できるよう市場調査にも注力している。

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