2024.01.23
太陽光発電を設置できる土地の地目とは?農地転用や地目変更も解説
いつも当コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社アースコム、取締役副社長の丸林です。
広い土地をお持ちの方や、畑として使っていた土地で何かできないだろうかとお考えの方の中には、すでに太陽光発電ができないか検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
太陽光発電をするためには、土地の地目変更が必要になるケースもあります。
そこで今回は、太陽光発電が設置できる土地の地目についてのお話です。
地目変更・農地転用の内容や手続き方法も、詳しく解説していきます。
目次
太陽光発電を設置できる土地とできない土地の地目とは?
地目とは、土地を使う用途をあらわしたものです。
土地の現状を公示する、不動産登記簿に地目という項目で表示されており、現在は不動産登記規則第99条によって次の23種類が地目として定められています。
「田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地」
この中に太陽光発電設備を設置できる土地とできない土地があるため、それぞれ確認していきましょう。
太陽光発電を設置できる土地
太陽光発電設備を設置できる土地の地目としては、「雑種地」「原野」「山林」「宅地」が挙げられます。
このうち「雑種地」は、ほかの22種の地目のどれにも属さない地目で、露天の駐車場や資材置き場などに使われていることが多く、太陽光発電の設置にも適した土地です。
「原野」は、人の手が加わっておらず、雑草や、かん木類が生育する土地。
山林は、竹や木が生育している土地で、原野のかん木との違いは、生育している木の高さの違いです。
「原野」「山林」とも太陽光発電を設置することは可能ですが、整地や木の伐採などが必要になり、特に山林については、伐採をする際、届け出が必要になる場合があります。
「宅地」は、太陽光発電設置可能な地目ですが、住宅などの建物が立っていないと土地の固定資産税が非常に高くなってしまいます。
太陽光発電設備は建物とは認められず、固定資産税の軽減措置は受けられないので注意が必要です。
太陽光発電を設置できない土地
基本的には太陽光発電を設置できないものの、手続きを行えば太陽光発電が設置できる土地として「田」や「畑」があります。
「田」や「畑」は農地となるため、農業以外の用途で使うためには土地の地目を変更する「農地転用」の申請が必要です。
耕作放棄地など明らかに農業が行われていない土地であっても、地目が「田」や「畑」になっている場合があります。
その場合も、太陽光発電など他の用途に使用する際は、農地転用の届出を出さなければなりません。
農地を太陽光発電可能な土地にするための「農地転用」の方法を知ろう
先ほどもお話したとおり、「田」や「畑」などの農地をほかの目的に使いたいとき、地目を変更するための手続きを「農地転用」といいます。
日本では農業保護政策のもと、農地を農地以外の目的で使うことは禁じられています。
許可なく利用した場合には罰則や懲役刑が課せられることもあるため、太陽光発電に限らず、農地を農業以外の目的で使う場合には必ず申請を行わなければなりません。
農地転用の方法と必要書類、申請後に必要な地目変更についてお伝えします。
農地の種類と農地転用の申請方法
農地には、都市計画区域内と都市計画区域以外があり、さらに、都市計画区域内は、市街化区域と市街化調整区域に分かれます。
市街化区域は、すでに市街地を形成している区域や、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域で市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域とされています。
市街地に近い農地や、面積が狭く生産量が少ないと考えられる農地は農地転用の許可が下りやすい状況です。
① 都市計画区域内の農地
【市街化区域】
農地転用の許可は不要ですが、農業委員会への届出は必要です。
届出をする際は、農地所有者が農地を転用する場合は第4条申請、農地を転用するため権利設定または、権利移転を行う場合は第5条申請と申請書面が異なりますので注意しましょう。
届出に必要な主な申請書類は以下となります。
- 届出書
- 申請地にかかる土地の登記事項証明書(全部事項証明書)
- 位置図
- 公図の写し
- 真正な権利者であることを証明する書面
- 賃借権が設定されている場合には、解約の許可等があったことを証明する書面
- 都市区画整理事業施行中の区域内で、仮換地指定されている場合は仮換地証明(第5条申請の場合のみ)
自治体により申請書や提出書類が異なる場合がありますので、事前の確認が必要です。
【市街化調整区域】
農地転用の許可が必要ですが、農用地区域になっている場合、農地転用は原則不許可となっています。
先に農用地区域から除外するための手続きをし、農地転用申請をします。
② 都市計画区域外の農地
都市計画区域外でも農地転用許可が必要ですが、1ha以上の開発は、都市計画法第29条の開発行為にあたるため、都道府県知事の許可が必要です。
農地転用したい土地が4haを超える場合は、都道府県知事ではなく農林水産大臣の許可が必要になります。
ただし都道府県が指定する農業振興地域の農地は、高い生産量が見込まれる農地として農地転用は原則不許可となっています。
その場合、農地としても収益が見込める魅力的な土地なら、農業と並行して太陽光発電を行うソーラーシェアリングという方法もありますよ。
「ソーラーシェアリングのメリットとは?手続き方法や費用を解説」でも詳しくご紹介しています。
農地転用申請に必要な書類
転用予定の農地がある市町村の農業委員会を経由して都道府県知事等に提出し、許可を受けます。
次に示したものが農地転用の申請に必要な書類です。
- 法人にあっては、法人の登記事項証明書及び定款又は寄付行為の写し
- 土地の位置を示す地図及び土地の登記事項証明書(全部事項証明書に限る。)
- 申請に係る土地に設置しようとする建物その他の施設及びこれらの施設を利用するため必要な道路、用排水施設その他の施設の位置を明らかにした図面
- 資金計画に基づいて事業を実施するために必要な資力及び信用があることを証する書面 ・申請に係る農地を転用する行為の妨げとなる権利を有する者がある場合には、その同意があったことを証する書面
- 申請土地が土地改良区の地区内にある場合には、その土地改良区の意見書
- その他参考となる書類
また、太陽光発電に使用する場合は別途提出書類がありますので、自治体への確認が必要です。
申請書類の詳細については、管轄の農業委員会にお問い合わせください。
農地転用後の地目変更登記
農地の転用の許可が下りたら、転用の工事後に地目変更が必要です。
工事を終えたら農地転用ができたことを確認してもらうために、「転用事実確認願」と「工事完了報告書」を市の農業委員会へ提出しましょう。
さらに農地転用事実確認願で受け取った証明書を添えて、法務局へ地目変更登記の申請に必要な書類を提出します。
登記申請書に添付する書類は対象の土地の状況別に変わるため、専門家のサポートを受けて手続きするのが安心でしょう。
農地変更と地目変更の違いや関係性については、「農地転用と地目変更の違いは?それぞれの内容と関係性、方法も詳しく!」でも詳しく紹介しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
農地で太陽光発電をする場合は土地の地目変更を
地目とは、土地の使用目的を示したものです。
「田」や「畑」といった地目は農地として利用されるべき土地とされ、地目を変更しなければ太陽光発電を設置できません。
地目を「宅地」に変更すれば太陽光発電の設置が可能ですが、土地の固定資産税が高くなりますので、売電収益とのバランスを考える必要があるでしょう。
農地として利用されるべき土地を地目変更することを農地転用といい、市街地に隣接する小さな農地などは農業委員会に届出を出すだけでOKです。
ただし、優良な農地として認められている地区に属している農地や、面積が広い農地は都道府県知事の許可や農林水産大臣の許可が必要になります。
農地は平坦な土地が多く日当たりも良いため、太陽光発電投資でも高い収益が見込めます。
ぜひ一度、検討してみてくださいね。
アースコムでは、太陽光発電の投資ソリューションを土地の仕入れから発電所稼働後のメンテナンスまで、ワンストップでご提供しています。
興味のある方は、ぜひご相談ください。